2006 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化症におけるHDL受容体CLA-1の役割と臨床応用
Project/Area Number |
17790608
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
井町 仁美 香川大学, 医学部附属病院, 助手 (80380187)
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Keywords | CLA-1 / 動脈硬化 / HDL / MAP kinase / Sp1 / PI3 kinase / Akt / Fox01 |
Research Abstract |
#動脈硬化とCLA-1情報伝達系 我々は肝臓で強く発現しているHDL受容体CLA-1が、高血糖によりその発現が抑制されることを認めた。高血糖によるCLA-1発現抑制はp38MAP kinase inhibitorにより阻害された。グルコース用量依存的にp38MAP kinaseの活性化を認め、活性型p38 MAP kinase遺伝子導入によりCLA-1転写は活性化され、不活型p38MAP kinase遺伝子導入により高血糖によるCLA-1発現抑制は阻害された。CLA-1 promoterの転写因子Sp1を含む領域の欠損により、高血糖によるCLA-1転写活性の抑制は認められなくなった。Sp1強発現により、CLA-1 promoterの転写活性は抑制され、Sp1発現抑制により高血糖刺激によるCLA-1転写抑制は阻害された(第49回日本糖尿病学会年次学術集会、東京2006年5月)。CLA-1の肝臓での発現がコレステロール逆転送系を賦活化し抗動脈硬化作用に働くと報告があり、つまり高血糖によるp38MAP kinase-Sp1を介する肝臓でのCLA-1発現抑制は、糖代謝以上による動脈硬化発症機序の一因と推察された。 また血管内皮細胞(HUVECs)にはCLA-1が発現しているが、動脈硬化進展に関与するangiotensin II(AngII)刺激により濃度依存的にの発現がタンパク・mRNA・転写活性レベルで抑制されることを見出した。このAngIIによるCLA-1抑制効果に関与する細胞内伝達系を検討したところ、PI3-K inhibitorの添加により抑制効果が阻害され、この経路においてもPI3-K/Akt系の関与が推察された。また転写因子FoxO1かAngII濃度依存的にリン酸化され、EMSAを用いた実験により、CLA-1 promoterがFOXO1に結合し、転写活性に影響を与えることを証明してきた(XIV International Symposium on Atherosclerosis Rome Italy 2006、Hypertension 2007)。 以上、動脈硬化症に関与するCLA-1発現調節の情報伝達系について解明してきた。
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