2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体内遺伝子導入法を用いたReg蛋白の全身性投与による膵β細胞の増殖・再生
Project/Area Number |
17790613
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
及川 洋一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30296561)
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Keywords | 膵β細胞の再生 / 生体内遺伝子導入 / Reg蛋白 / 糖尿病 / プラスミドベクター |
Research Abstract |
膵β細胞特異的な増殖因子であるReg蛋白を遺伝子導入によって糖尿病モデルマウスに全身性に投与し、糖尿病の治療の可能性について検討をおこなった。 C57BL/6(8週齢、♂)マウスにstreptozotocin (STZ)を180mg/kg/匹ずつ投与し、4時間絶食後(以下空腹時)血糖500mg/dl程度の糖尿病状態を作成した。尾静脈にReg発現ベクター(pASCXA-Reg : n=5、Reg群)あるいは空ベクター(pASCXA : n=3、対照群)を60μg/2ml(生食)ずつ急速静注し、肝臓に遺伝子導入した。5週後の時点での空腹時血糖はReg群では平均500mg/dl、対照群では平均550mg/dlであり、対照群では血糖の増悪傾向を認めた。 次に、Reg蛋白をより過剰に効率よく発現させることを目的として、同様の遺伝子導入を週1回ずつ4回連続施行した。しかし、最終処置後20週の時点では、Reg群(n=9):平均490mg/dl、対照群(n=8):平均520mg/dlと両群間で差を認めなかった。著明な高血糖状態が膵β細胞の再生に影響していると考え、STZ処置マウスにインスリン(0.3U/匹)を併用して空腹時血糖を300mg/dl程度に維持しながら、頻回遺伝子導入を行った。その結果Reg群(n=5)、対照群(n=5)とも空腹時血糖300〜400mg/dl程度に維持されたが、一部のReg群では血糖値100mg/dl以下となった。血中Reg濃度の違いが血糖降下パターンの違いに寄与した可能性があり、現在Reg蛋白定量用のELISAを構築し、血中Reg濃度と血糖降下作用との関係について評価中である。 組織学的検討では、一部のReg群において膵管上皮からのインスリン陽性細胞の再生像や膵島の巨大化を認め、Reg蛋白による膵β細胞の増殖効果を示唆する所見と考えた。今後は細胞増殖マーカー(BrdUやKi67)を利用して、膵β細胞の再生効率を免疫組織学手法にて評価していく予定である。
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