2006 Fiscal Year Annual Research Report
全ゲノム検索及び候補遺伝子アプローチによる自己免疫性甲状腺疾患感受性遺伝子の探索
Project/Area Number |
17790632
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
伴 良行 昭和大学, 医学部, 助手 (00317554)
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Keywords | 自己免疫性甲状腺疾患 / バセドウ病 / 橋本病 / 疾患感受性遺伝子 / 全ゲノムマッピング / 連鎖解析 / 関連解析 |
Research Abstract |
(1)欧米白人自己免疫性甲状腺疾患(AITD)102家系を用いた甲状腺自己抗体(TAb)感受性遺伝子座の同定 【目的】以前、我々は、欧米白人自己免疫性甲状腺疾患(AITD)102家系を対象とした全ゲノムスキャンによる連鎖解析で、AITD感受性遺伝子座(6p,8q,10q)、バセドウ病(GD)感受性遺伝子座(7q,14q,20q)、橋本病感受性遺伝子座(12q)をマッピングしだ。一方、抗サイログロブリン抗体(TgAb)や抗TPO抗体(TPOAb) 橋本病感受性遺伝子座(12q)をマッピングしだ。一方、抗サイログロブリン抗体(TgAb)や抗TPO抗体(TPOAb)などの甲状腺自己抗体(TAb)は、AITDにおいて高率に陽性であり、また、健常者においても、10-5%で陽性であることが知られている。今回、我々は、AITD 102家系を用いて、全ゲノムスキャンを行い、TAb感受性遺伝子座を同定した。【対象】欧米白人AITD 102家系(540名)を用いた。【方法】ヒト染色体上に存在する400個のマイクロサテライト多型を全自動シーケンサーにてタイピングし、連鎖解析のうち、単点解析はLIPED softwareにて、多点解析及びheterogeneity testingはGenehunter programにて行った。【結果】AITD 162家系(540名)のうち、TAb(TgAb and/or TPOAb)を持つ健常者は78名であった。多点解析及びheterogeneity testingにて、以前、我々が同定した2q(maximum multipoint heterogeneity LOD score[HLOD] 2.8)の他、6p(HLOD 2.5)、8p(HLOD 2.2)が同定された。このうち、6pは、以前、我々が同定したAITD感受性遺伝子座(AITD-1)と一致し、8pにはTg遺伝子が含まれる。【結論】本研究にて、TAb感受性遺伝子座は、AITD感受性遺伝子座と一致し、TAb保持者はAITD発症のリスクが高くなることが示唆された。 (2)候補遺伝子アプローチによる日本人AITD感受性遺伝子の同定 【目的】バセドウ病(GD)や橋本病(HT)などの自己免疫性甲状腺疾患(AITD)は複数の遺伝要因と複数の環境要因の相互作用により発症する多因子疾患である。最近、1型糖尿病にて、免疫調節因子の一つであるPTPN22/LYP遺伝子、FOCP3遺伝子との疾患関連性が報告された。そこで今回、我々は、それぞれの遺伝子が日本人AITDにおいて疾患感受性を認めるかどうかを検討した。【方法】対象はAITD患者458名(GD385名、HT173名)と年齢と性別が一致した正常対照者179名を用いた。(1)PTPN22遺伝子の一塩基多型(SNP)はPTPN遺伝子内に存在する5個のSNPを用い、PCR-RFLP法及びSnaPshot法にて検出し、x^2検定にて関連解析及び連鎖不均衡解析を行った。(2)FOXP3遺伝子及びそめ近傍の4つのマイクロサテライト多型はPCR法により多型を含むゲノムDNA領域を増幅後、ABI310全自動シーケンサーにて検出し、X^2検定による関連解析及び連鎖不均衡解析を行った。【結果】(1)PTPN22遺伝子SNP37のCA遺伝子型はAITD患者及びHT患者で高率に認められた(35.2% vs. 26.3% of controls,p=0.03,0R=1.52;37.0% vs. 26.3% of controls,p=0.03,0R=1.65)。他のSNPではAITD群と正常対照群との間に分布の差を認めなかった。(2)FOXP3遺伝子及びその近傍の4つのマイクロサテライト多型ともに、AITD群と正常対照群との間に分布の差を認めなかった。【結論】日本人AITDにおいて、PTPN22遺伝子が新たな疾患感受性遺伝子であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)