2005 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋でのインスリン感受性を高める視床下部オレキシンの調節作用とその生理的意義
Project/Area Number |
17790634
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
志内 哲也 生理学研究所, 発達生理学研究系, 助手 (70372729)
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Keywords | オレキシン / 交感神経系 / 糖代謝 / 視床下部 / 骨格筋 |
Research Abstract |
オレキシンA(5pmol)を内側視床下部に投与すると、骨格筋において有意にグルコースの取り込みが上昇した。しかし、外側視床下部や室傍核に投与しても、有意な変化は見られなかった。また、内側視床下部へのオレキシン投与により、摂食量および自発運動量には有意な変化がなかったが、骨格筋におけるノルアドレナリン代謝回転が亢進した。さらに、交感神経系阻害剤であるグアネチジンを前投与すると、オレキシンによるグルコース取り込み促進作用が低下したため、骨格筋におけるオレキシンのグルコース取り込み促進作用は、摂食行動や自発的な運動などの影響ではなく、視床下部-交感神経系を介したものと考えられる。 次に、インスリン投与によるグルコースの取り込みに及ぼすオレキシンの効果を検討した。インスリンによる骨格筋でのグルコースの取り込みは、オレキシン投与により促進した。これらの実験において、白色脂肪組織では有意な変化は見られなかった。また、オレキシン投与により、血中インスリンレベルに変化はなかった。以上の結果は、オレキシンは内側視床下部に作用して、骨格筋におけるインスリン感受性を高めることを示唆する。 骨格筋における交感神経の作用が、アドレナリンのα受容体を介した作用かβ受容体を介した作用かを調べるため、β受容体のすべてのサブタイプ(β_1、β_2、β_3)を欠損しているβ受容体遺伝子欠損(β-less)マウスを用いて検討した。β-lessマウスの内側視床下部にオレキシンを投与すると、骨格筋におけるノルアドレナリン代謝回転は亢進するものの、グルコースの取り込みには変化がなかった。 以上の結果より、オレキシンは内側視床下部に作用して交感神経系を活性化し、アドレナリンβ受容体を介して骨格筋でのグルコース取り込みを促進する可能性が考えられる。
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