2005 Fiscal Year Annual Research Report
Flt3経路を介した急性骨髄性白血病発症の分子機構の解明及び治療開発
Project/Area Number |
17790635
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 伸一郎 東北大学, 病院, 助手 (40375069)
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Keywords | 遺伝子 / シグナル伝達 / 内科 |
Research Abstract |
a)AMLにおけるFlt3遺伝子高発現機序制御メカニズムの解明 1)ヒトFlt3遺伝子の発現調節領域の解析:申請者はFlt3遺伝子制御領域を単離し、Flt3遺伝子発現に重要な領域を同定した。さらに、転写因子PU.1(次項参照)がFlt3遺伝子プロモーターを特異的に負に制御し、また、転写開始点より上流-220bpまでの領域がPU.1によるFlt3遺伝子発現抑制に重要であることが明らかになり、当初の目標であるFlt3制御因子の同定に成功した。 2)AML症例におけるFlt3発現の検討:申請者はAML検体の収集を進行しており、31例の症例が集積され、1例のAML1-ETO陽性検体も収集することが出来た。申請者は既にFlt3プロモーターがAML1ETO過剰発現により抑制されることを見いだしているが、当初の推察通り、AML1-ETO陽性検体で全ての検体におけるFlt3の発現(Flt3/GAPDH=0.0447,n=31)に比して低い(0.0025)発現であることを見いだした。また、最近、AML発症において転写因子PU.1の発現低下が発症に重要な役割を果たしていることが報告された(Rosenbauer et al., 2004 Nature Genetics 36(6)p624-30)。そこで、同検体ストックを用いてFlt3とPU.1の発現を検討したところ、有為な負の相関(r=-0.43,p<0.05)を見いだし、Flt3遺伝子が転写因子PU.1により負に制御している可能性を見いだした(Inomata and Takahashi et al. 2006,Leukamia Research, in press)。 b)Flt3活性化細胞における下流シグナル伝達経路の解明 申請者は独自に樹立した、BaF3細胞に、活性型変異であるFlt3-ITDを過剰発現する細胞株とそのコントロールとして発現ベクターのみを導入した細胞と比較してタンパク質アレイを施行した。その結果、Ras/Raf/MEK/MAPキナーゼ経路に関与するc-Rafやc-junのタンパク質レベルでの発現上昇を認めた(Takahashi,Am.J.Hematol. 2006,in press)。そこで、同経路の阻害がFlt3変異細胞の治療に有効であると考え、MEK阻害剤U0126を用いて効果を検討したところ、Flt3変異細胞に対して強い阻害効果があることをも明らかにしている(Takahashi.Am,J.Hematol.,2006,p154-155)。
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Research Products
(4 results)