2005 Fiscal Year Annual Research Report
TCRと抗原ペプチド/MHC分子の親和性を指標としたTAAsの同定
Project/Area Number |
17790641
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
近藤 恭夫 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (10322116)
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Keywords | 抗原ペプチド / MHC分子親和性 / 腫瘍関連抗原 / 自己抗原 / ワクチン療法 / 同種造血幹細胞移植 |
Research Abstract |
BIMASのソフトウェアを用いたアルゴリズム解析の結果,急性白血病の予後不良因子であるCDK2,CDK4細胞周期調節タンパク分子のアミノ酸配列の中からHLA-A^*2402分子上に提示可能な9merのペプチドが推定された.CDK2由来のペプチド(CDK2_I:^<167>WYRQPEILL^<175>)とCDK4由来のペプチド(CDK4_V:^<170>WYRQPEVLL^<187>)のアミノ酸シークエンスは相同性が高く,7番目のアミノ酸のみが異なっていた.HLA-A^*2402を遺伝子導入したT2細胞(A24-T2)上のHLA-A^*2402分子は抗原と結合していないため発現が不安定である.合成したCDK2_IとCDK4_VペプチドはA24-T2細胞表面上のHLA-A^*2402分子の発現をペプチド濃度依存性に安定化した.A24-T2のHLA-A^*2402分子の安定化を指標としたCDK2_I,CDK4_VペプチドとHLA-A^*2402分子との結合力は,陽性コントロールのHIV envelope由来ペプチドと同程度であった.この結果から,HLA-A^*2402分子に結合したCDK2_I及びCDK4_VペプチドはA24-T2によってCD8陽性T細胞に提示され得ることが確認された.HLA-A^*2402陽性健常者の末梢血単核細胞からmagnetic beadsを用いて分離したCD8陽性ナイーヴT細胞を,CDK2_IペプチドをパルスしたA24-T2(CDK2_I-T2)で繰り返し刺激してCTL(CDK2_I-CTL)を誘導した.IFNγ secretion assay, CD107a mobilization assayさらに^<51>Cr releasing assayを用いてCDK2_I-CTLがCDK2_I-T2を特異的に傷害することが確認された.同様にCDK4_V-T2で刺激し誘導したCTL(CDK4_V -CTL)はCDK4_V-T2を特異的に傷害した.この結果から,自己抗原であるCDK2_I,CDK4_Vに対する寛容は健常者では強固なものではなく,in vitroでの抗原刺激によってペプチド特異的CTLが容易に誘導されることが示された.さらにCDK2_I-CTLはCDK4_V-T2を傷害し,CDK4_V-CTLはCDK2_I-T2を傷害したことから,CDK2_I-CTLとCDK4_V-CTLは相同性の高い2つのペプチドに交叉反応を示すことが示された.一方,急性骨髄性白血病細胞と急性リンパ性白血病細胞はCDK2,CDK4タンパク分子を過剰発現していることがwestern blottingにより確認された.相同性の高い自己抗原CDK2_I,CDK4_Vに特異的なCTLは細胞表面に提示されているCDK2,CDK4タンパクの総量を認識することから,同種造血幹細胞移植後CDK2_IとCDK4_Vを標的としたワクチン療法によってCDK2,CDK4タンパクをともに過剰発現している白血病細胞を単独のペプチド特異的CTLよりも効果的に傷害する可能性がある.
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Research Products
(1 results)