2006 Fiscal Year Annual Research Report
TCRと抗原ペプチド/MHC分子の親和性を指標としたTAAsの同定
Project/Area Number |
17790641
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
近藤 恭夫 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (10322116)
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Keywords | 抗原ベプチド / MHC分子親和性 / 腫瘍関連抗原 / 自己抗原 / 微小残存病変 / 同種造血幹細胞移植 |
Research Abstract |
新たな腫瘍関連抗原(TAAs)として細胞周期調節タンパクであるCDK2タンパクに注目し,白血病細胞ではCDK2が過剰発現していること,HLA-A^*2402陽性健常者ではCDK2由来9mer自己抗原ペプチド(CDK2_<158>,CDK2_<167>,CDK2_<178>)に対するT細胞の末梢性トレランスが不完全で,末梢血T細胞からCDK2由来ペプチド特異的細胞障害性T細胞(CTL)が誘導されることを昨年までに確認した. HLA一致同種造血幹細胞移植(allo-SCT)ドナーのCD8陽性ナイーヴT細胞を,CDK2由来ペプチドをパルスしたA24-T2細胞で繰り返し刺激してCDK2由来ペプチド特異的CTL(CDK2-CTL)を誘導した後に,CDK2タンパクを過剰発現している患者白血病細胞と,同じ患者由来でCDK2タンパクを過剰発現していないEpstein-Barrウイルス形質変換B細胞株(EBV-LCL),ドナー由来のEBV-LCL,ドナー骨髄単核細胞(BMMC)に対するCDK2-CTLの反応性を検討した.CDK2-CTLは白血病細胞と共培養したと時のみIFNγを放出したことから,健常ドナー由来のCDK2-CTLは患者白血病細胞とEBV-LCL細胞でのCDK2の発現量の差を認識して,患者白血病細胞のみを特異的に傷害したことが明らかとなった.CDK2_<158>/HLA-A24マルチマーとCDK2_<178>/HLA-A24マルチマーを用いて,allo-SCT後のCDK2に対する免疫の誘導と,抗白血病効果,移植片対宿主病(GVHD)との関連性を,16例のHLA-A24陽性移植例を対象として検討した.移植後寛解を維持している11例中6例でCDK2に対する免疫の誘導が確認されたのに対し,再発した3例ではCDK2に対する免疫が誘導されなかった(p=0.09).また移植時血液学的に再発していた(腫瘍量が多い)6例中1例でのみCDK2に対する免疫が誘導されたのに対し,血液学的に寛解で分子学的微小残存病変(MRD)が検出されていた(腫瘍量が少ない)5例は全例でCDK2に対して免疫が誘導され1例の再発もなかった.一方移植時分子学的寛解であった(腫瘍量が全くない)例は再発し,CDK2に対する免疫が誘導されなかった(p=0.02).このことから,移植時にMRDが有る例ではドナー由来のT細胞が腫瘍細胞にプライミングされることで移植後CDK2に機能的結合性の高いCTLが効果的に誘導され,残存する白血病を特異的に傷害することが示唆された.GVHDの発症とCDK2に対する免疫の誘導には相関がみられず,移植後CDK2に対する免疫の誘導は抗白血病効果に特異的であった.
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Research Products
(1 results)