2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規マイナー組織適合性抗原の同定および造血幹細胞移植におけるその臨床的意義の解析
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17790642
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村田 誠 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (40378063)
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Keywords | マイナー組織適合性抗原 / HLA / Tリンパ球 / GVHD / UGT2B17 / 造血幹細胞移植 / GVL効果 / ペプチド |
Research Abstract |
以前我々は造血幹細胞移植患者の末梢血中からマイナー抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)クローンPL8を分離し、その標的抗原としてHLA-A^*2902分子上に提示されるUGT2B17遺伝子由来のペプチドを同定し、さらにその抗原機序がドナーUGT2B17遺伝子の欠損に由来することを報告した(J Exp Med 2003;197:1279-89)。今回我々は同一患者末梢血から別のCTLクローンPL10(HLA-B^*4403拘束性)を分離し、その標的遺伝子の同定を試みた。第三者のEBウイルス感作Bリンパ球(LCL)に対する細胞傷害性試験(Cr遊離試験)において、PL10が傷害したB^*4403陽性LCLは全てUGT2B17遺伝子が陽性で、一方PL10が傷害しなかったB^*4403陽性LCLは全てUGT2B17遺伝子が欠損していた。そこで、UGT2B17欠損B^*4403陽性LCLにUGT2B17 cDNAを遺伝子導入したところ、PL10はこれを傷害した。またUGT2B17陽性B^*4403陰性LCLにHLA-:B^*4403 cDNAを遺伝子導入したところ、PL10はこれを傷害した。以上より、PL10はHLA-B^*4403分子上に提示されるUGT2B17由来のペプチドを認識していることが証明された。さらにUGT2B17 cDNAのdeletion mutantを作製し解析を行ったところ、PL10は以前報告したA29分子上に提示されるペプチドと全く同一のペプチドを認識していることが分かった。さらにこのペプチドはB^*4402に対してもB^*4403とほぼ同程度の結合能を示すことが分かった(ペプチド結合試験)。従ってUGT2B17由来マイナー抗原はHLA-A^*2902、B^*4403、B^*4402の3つのHLA分子上に提示されることが分かった。現在その臨床的な意義について解析を進めている。
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