2005 Fiscal Year Annual Research Report
mRNA安定性調節による造血細胞の細胞周期・細胞死制御メカニズムの解析
Project/Area Number |
17790645
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松井 啓隆 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (60379849)
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Keywords | アポトーシス / Bim / p27^<Kip1> / Hsc70 / コシャペロン / mRNA安定性 |
Research Abstract |
造血前駆細胞はサイトカイン依存的に細胞周期やアポトーシスが制御されている。研究者らは以前よりサイトカインによるアポトーシス制御メカニズムの解析を行っており、これまでサイトカインが細胞周期制御因子p27^<Kip1>やアポトーシス誘導因子Bimの発現量を抑制することにより、細胞の生存・増殖をコントロールすることを明らかにしてきた。実験のモデルとして用いた細胞株では、このp27^<Kip1>,Bimが主としてmRNAのレベルで発現調節されていることから当初転写調節による制御を想定したが、解析の結果mRNA安定性がダイナミックに調節されていることが判明した。そこで本メカニズムの詳細を解明すべく研究費の交付を受けた。 まずmRNA安定性制御に関与する因子の同定を行い、p27^<Kip1>,Bim mRNAに結合しこれらを安定化する因子がヒートショック関連因子Hsc70を含む複合体であることを明らかにした。サイトカイン存在下ではHsc70がコシャペロンBag-4,Chipと複合体を構成し主としてATP結合型となり、一方サイトカイン非存在下では別のコシャペロンであるHsp40やHipと複合体を形成し、この複合体がp27^<Kip1>やBim mRNAと高い親和性を持って結合した。すなわちサイトカインはHsc70と結合するコシャペロンを調節し、Hsc70のmRNA結合能を制御することが判明した。続いてHsc70の発現量を安定に低下させたノックダウン細胞株を樹立し、Hsc70複合体のmRNA安定化機構について解析を行った。その結果、Hsc70はpoly(A)鎖の短縮とRNA body分解の両者を抑制しmRNAを安定化することが判明した。またこの細胞株では、サイトカイン除去によるBim mRNA発現誘導能が低下するとともにアポトーシス抵抗性を示し、確かにHsc70がサイトカインの下流でmRNA安定性を制御していることが確認された。今後サイトカインからのシグナルがいかにコシャペロンを制御するのかといった課題について解析を継続する予定である。
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