2005 Fiscal Year Annual Research Report
好中球造血におけるG-CSF受容体シグナルとC/EBPαとのクロストークの解明
Project/Area Number |
17790648
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
亀崎 健次郎 九州大学, 大学病院, 医員 (70380433)
|
Keywords | G-CSF / C / EBPα / ERK / G-CSF受容体 / 好中球造血 |
Research Abstract |
C/EBPαは好中球の分化に必須の転写因子であり、その欠損マウスでは好中球が全く存在しない。一方、G-CSFまたはG-CSF受容体が欠損すると好中球は正常の15%程度に減少し、G-CSF-G-CSF受容体を介するシグナル伝達経路は好中球造血に必須である。我々はG-CSF刺激によりC/EBPαの転写能が亢進することを以前報告しており、本研究においてこのシグナル伝達経路を検討した。 293T細胞にC/EBPα、G-CSF受容体、C/EBPαの認識塩基配列の下流にルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだレポーターコンストラクトの3者を導入し、G-CSF刺激後のC/EBPαの転写能を検討した。野生型のG-CSF受容体は、G-CSF刺激によりC/EBPαの転写能を亢進するシグナルを伝達するが、これにMAPキナーゼの阻害剤であるU0126を添加すると著明に、PD98059添加時には半分程度に抑制された。細胞質内の4つあるチロシン(704Y,729Y,744Y,764Y)を種々の組み合わせでフェニルアラニンに置換したG-CSF受容体変異体を用いて検討を行うと、704Yと764Yをフェニルアラニンに置換したG-CSF受容体では、G-CSF刺激によるC/EBPαの転写能の亢進作用が阻害されていた。以上の結果よりG-CSF受容体のY704とY764のチロシン基のリン酸化から始まる古典的MAPK経路が、G-CSF刺激によるC/EBPα転写能亢進の主要な役割を果たしていることを明らかにした。次に、ERKによりリン酸化されると推定されるC/EBPαのセリン/スレオニンをリジンに置換した変異体を用いて検討を行った。G-CSF刺激により活性化されるC/EBPαの転写能亢進は、リジンに置換した場合も影響を受けず、C/EBPαの活性化はERKによりC/EBPαが直接活性化されるのではなく、他の分子を介した間接的な作用であると考えられる。
|