2005 Fiscal Year Annual Research Report
成人T細胞白血病に対するウイルス抗原を標的とした免疫療法の基盤研究
Project/Area Number |
17790651
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
野坂 生郷 熊本大学, 医学部付属病院, 助手 (90398199)
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Keywords | 成人T細胞白血病 / 細胞傷害性Tリンパ球(CTL) / Tax / 同種造血幹細胞移植 / Tetramer / ELISPOT |
Research Abstract |
成人T細胞白血病(ATL)はCD4陽性T細胞の腫瘍性疾患であり、臨床的にはくすぶり型から急性型まで分類される。またHTLV-1キャリアのうち2-5%程度しか発症しないとされており、その発症のメカニズムはまだ明らかになっていない。本研究では、慢性型のATL症例においてTetramer assayでTaxに対する細胞傷害性Tリンパ球(CTL)が末梢血中に存在していた。またそのような細胞は経時的に存在していた。臨床的にも自然経過のうち、ATL細胞の減少と全身状態の改善もみられる症例も認めた。その症例のTaxの塩基配列は、変異が認められ、ATL細胞ではTaxは発現できない構造を示していた。感染細胞の減少に寄与している可能性もあると考えられる。またATLは化学療法に抵抗性で、予後も悪く、長期生存される症例も稀であり、新たな治療法の確立が急務となっている。最近、同種造血幹細胞移植がATLに対して行われるようになり、治療効果をしている症例も認められることより、非常に期待される治療の一つである。今回、同種骨髄非破壊的造血幹細胞移植を施行し、長期無病生存例において検討したところ、完全キメラの状態でTaxに対するCTLが存在しており、また、その細胞はELISPOT assayでIFNγの産生もあり、機能的であることも示唆された。ある症例では局所再発時にはTaxに対するCTLは認められなかったが、Donor Lymphocyte Infusion(DLI)後再び寛解に至り、その後1年経過したあとにCTLの存在が認められた。今後症例のさらなる症例の蓄積を行う必要があると考える。
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Research Products
(4 results)