2005 Fiscal Year Annual Research Report
発生工学的手法を用いた転写因子Runx1の造血幹細胞発生における機能の解析
Project/Area Number |
17790655
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
牧 和宏 獨協医科大学, 医学部, 講師 (50337391)
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Keywords | Runx1 / 遺伝子改変マウス / 造血幹細胞 |
Research Abstract |
転写囚子Runx1(AML1)の造血幹細胞発生における機能を解析する目的で、AML1の機能をドミナントに抑制するAML1/EVI1キメラ遺伝子をマウスAML1 locusにノックインしたAML1/EVI1ノックインマウスを作製し解析した。 1.AML1/EVI-1ヘテロノックインマウスは胎生致死であった。2.中枢神経系の出血および胎仔肝での成体型造血の欠如を認めた。ヘテロマウス胎仔肝において赤芽球系細胞および骨髄球系細胞の著明な減少と、異形成のある巨核球系細胞を認めた。また、末梢血塗沫標本では有核赤血球のみを認めた。3.造血コロニーアッセイでは、ヘテロマウス胎仔肝では多系統の細胞からなるCFU-Mixを含むコロニーが多数得られたが、赤芽球系のコロニーは全く観察されなかった。コロニーアッセイ10日目のサイトスピン標本では顆粒球への分化傾向は示すものの顆粒形成はほとんど認められず、分化の抑制および形態異常が認められた。また、継代培養実験にて、AML1/EVI-1胎仔肝にはより高い自己複製能を持つ造血前駆細胞の存在が確認された。4.胎仔肝細胞における造血系転写因子の発現について、半定量的RT-PCRにて解析した。AML1/EVI-1ヘテロマウスおよびAML1ノックアウトマウスでは、CEBPαは野生型マウスの約4倍の発現増加が認められたのに対し、Lmo2およびSCLは1/10程度と著明な低下が認められた。一方、AML1ノックアウトマウスでは、Pu.1は野生型マウスと比べ著明な発現低下が認められたのに対し、AML1/EVI-1ヘテロマウスでは野生型マウスと同等のPu.1の発現が認められた。AML1/EVI-1ヘテロマウスの胎仔肝において、AML1ノックアウトマウスと異なり、Pu.1の発現が維持されることにより、自己複製能の高い造血前駆細胞が増加している可能性が示唆された。
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