2005 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞を用いたアレルギー疾患治療の基礎的研究:レドックス制御を基盤とした検討
Project/Area Number |
17790667
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
宇津木 光克 群馬大学, 医学部, 医員 (40396635)
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Keywords | レドックス / 樹状細胞 / TH1 |
Research Abstract |
CD4陽性T細胞のサブセットであるTh1とTh2の不均衡によって生じる各種アレルギー疾患・膠原病において、Th1/Th2バランスの制御は、これら疾患の新たな治療戦略と考えられる。本研究は還元型と酸化型グルタチオンの変化、すなわちレドックスがTh1/Th2バランスに与える影響を検討するものである。 IL-12はTh1分化に重要な役割を果たしているサイトカインである。末梢血単球から樹状細胞を分化誘導した後、還元剤や酸化剤の前処置を行い、LPSにて刺激後の上清中のIL-12を測定した。還元剤投与によりIL-12産生は増強され、酸化剤投与によりIL-12産生は抑制された。すなわち樹状細胞おいて、IL-12産生がレドックス制御を受ける事を確認した。一方、IL-23は最近、自己免疫性疾患との関与が認められ、Th1とTh2とは別のTh17サブセットを誘導するサイトカインであるが、IL-23 p19サブセットのmRNA発現は還元剤・酸化剤投与においても変化せず、IL-23産生はレドックス制御を受けていないことが判明した。 このメカニズムを解明するため、IL-23 p19サブセットとIL-12 p40サブセットの発現におけるシグナル伝達機構を比較検討した。各阻害剤を用いた検討において、p38 MAP kinaseがIL-23 p19発現を負に制御している一方IL-12 p40発現を正に制御していること、JNKはp19およびp40発現をともに負に制御していることが考えられた。そしてレドックスの還元型への誘導はp38の活性化を増強したが、逆にJNKの活性化を抑制した。よってIL-12とIL-23発現におけるレドックス制御の相違はシグナル伝達経路の相違に起因することが判明した。 現在は樹状細胞とナイーブT細胞との共培養を行いレドックスの変化に伴う、T細胞サブセットのプロファイルについて検討している。
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