2005 Fiscal Year Annual Research Report
AIRE発現細胞株を用いた末梢組織特異的遺伝子群の転写調節機構の解明
Project/Area Number |
17790675
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山口 良考 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50365433)
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Keywords | 免疫学 / 胸腺 / 免疫学的寛容 / 自己免疫疾患 / AIRE |
Research Abstract |
自己免疫疾患の中では珍しい常染色体劣性遺伝の単一遺伝子疾患であるAPECED(自己免疫性多腺性内分泌不全症-カンジダ症-外胚葉性ジストロフィー)の原因遺伝子として同定された自己免疫調節遺伝子AIREは、胸腺においてごく一部の上皮細胞などに発現しており、末梢組織特異的遺伝子の異所性発現を支配し、免疫学的寛容の成立に関与している。胸腺上皮細胞に特異的な異所性発現調節機構におけるAIREの役割を解明するためには、AIREが実際に働いている細胞を材料とした生化学的解析が必要であるが、AIREが発現する髄質上皮細胞は胸腺にもわずかしか含まれず、大量に調製することは困難であった。さらに胸腺髄質上皮細胞由来の培養細胞株の中にもAIREを発現する細胞が存在しなかった。そこで申請者は、マウスAire遺伝子プロモーター断片の下流に動物細胞を不死化させる特質を持つSV40ラージT抗原のコーディング領域を融合させたトランスジーンを用いてトランスジェニックマウスを作製し、胸腺由来のAIRE発現細胞株(以下Aire^+細胞株)を樹立することに成功した。今年度は、得られた3株のAire^+細胞(Aire^+細胞-82332、152、3292)の性状解析を行った。RT-PCR解析の結果、Aire^+細胞株は、胸腺上皮細胞のマーカーであるケラチン8とケラチン5を共に発現しており、AIREが本来発現する胸腺の皮質髄質境界領域の上皮細胞由来と考えられた。また、APECEDの標的末梢組織特異的自己抗原遺伝子群の発現が確認され、胸腺上皮細胞に本来備わっている末梢組織特異的遺伝子の異所性発現能がAire^+細胞株にも保たれていることが判明した。
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