2005 Fiscal Year Annual Research Report
NKT細胞による免疫寛容誘導機構の解析-NKT細胞Th2偏倚の分子機構の解明-
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17790686
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
香城 諭 独立行政法人理化学研究所, 免疫制御研究グループ, 研究員 (70360542)
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Keywords | NKT細胞 / 糖脂質抗原 / Th2 / 免疫寛容 / クロマチン |
Research Abstract |
目的: NKT細胞の連続的活性化に伴い,免疫寛容現象が誘導される.我々はこの過程において,NKT細胞のTh2偏倚を経て寛容誘導性の樹状細胞が分化誘導されることを見出し報告した(J.Immunol.2005).このNKT細胞のTh2偏倚機構に関しては現在までのところ詳細なメカニズムは明らかではない.そこで,今回我々は,NKT細胞のTh2偏倚に伴う細胞内分子動態の変化を中心に解析を進め,メカニズムの解明を試みた. 結果: 1)糖脂質抗原α-GalCer (αGC)のマウス生体内連続投与により,NKT細胞はTh2型へ偏倚した.IFN-γはほぼ完全に産生がストップし,IL-4は減少する傾向にあった.しかしながら,IL-10は同等あるいは増加傾向を示し,連続的な刺激に伴いIL-10の産生が優位になることを確認した. 2)αGC連続投与後に採取したNKT細胞では,非刺激状態における細胞内IFN-γ mRNA産生量が減少しており,再刺激後の転写増加量も低い事を確認した. 3)ChiPアッセイ法によりIFN-γプロモーター領域のクロマチン構造変化を確認したところ,αGC投与によって部位特異的なヒストンのアセチル化が誘導されることを確認した. 4)αGC投与により,NKT細胞内SOCS1,SOCS3分子の発現が亢進すること,ならびにT-betの発現が減少することを確認した. 5)αGC投与により,NKT細胞内Tis11b分子の発現が亢進することが確認された. 以上の結果より,クロマチン構造変化,シグナル抑制分子(SOCS)の発現亢進,転写因子の発現抑制(T-bet)およびmRNA不安定化タンパクの発現亢進(Tis11b)等の複合的な作用を介してNKT細胞のTh2偏倚が誘導されている可能性が高いと考えられる.各要素の貢献度を確認することが必要と考えられる.
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Research Products
(4 results)