2005 Fiscal Year Annual Research Report
チアノーゼ性心疾患における血管新生作動タンパク質の特定
Project/Area Number |
17790690
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
安川 久美 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (10375769)
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Keywords | 血管新生因子 / チアノーゼ性心疾患 / 毛細血管形成能 |
Research Abstract |
医学の進歩により、テアノーセを持ちなから学童・成人に達する先天性心疾患患者も増加している。これらの患者では、低酸素による血管新生系の活性化亢進が推測され、実際に側副血行路がよく発達しているが、ときにこの生体反応が異常な病的血管新生をもたらし、最終手術を不可能にすることもある。本研究では、チアノーゼ性心疾患(CCHD)における血管新生作動タンパク質を特定することを目的とし、病的血管新生に対する新たな治療法を探索する。 増殖因子を除いたマトリゲル内でヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を培養する系に、CCHD患者血清を添加し毛細血管を作らせる血清の機能を解析した結果、CCHD患者血清は健常人血清の平均1.5倍の毛細血管形成能(tube formation)を示し、さらに手術により低酸素が改善されると血管形成能は正常化していた。この結果を基にCCHD患者における血管新生作動物質の特定を試みた。 1.同系を用いて、既知の血管新生分子に対する種々の抗体や阻害剤を患者血清に反応させtube formationへの影響を解析した。VEGF受容体抗体およびVEGFリガンドの生理活性抑制因子である可溶性VEGFR-1でCCHD患者血清の前処理を行うとtube formationは抑制され、そこにリコンビナントのVEGFを添加するとtube formationは回復した。2.トランスウェルを用いてHUVECの遊走能を検討した。健常人血清に比べCCHD患者血清の添加により遊走能が亢進した。3.ELISA法にて測定した血清中のVEGF値は、CCHD患者では健常人に比べ高値であった。 以上より、CCHD患者の血清にはVEGFが含まれており、血管新生に重要な役割を果たしていることが推測される。 さらに、CCHD患者における新たな血管新生作動タンパク質の特定を行うべく、プロテオーム解析にむけて、患者血清を収集中である。
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