2005 Fiscal Year Annual Research Report
小児急性リンパ性白血病における感染を契機にした自然退縮の機序の解明
Project/Area Number |
17790694
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
赤羽 弘資 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (90377531)
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Keywords | 白血病 / アポトーシス / 細胞障害因子 / TRAIL / FasL / B前駆細胞型急性リンパ性白血病 / T細胞型急性リンパ性白血病 |
Research Abstract |
我々は感染症を契機に無治療で芽球が減少して正常造血が回復し、3週間以上も寛解が持続した急性リンパ性白血病(ALL)の3症例を経験し過去に報告した(赤羽ら、第44回小児血液学会総会、2002年)が、3症例はいずれもB前駆細胞型(B-precursor ALL)であり、T細胞型(T-ALL)は1例もなかった。これらの症例では、感染により活性化された免疫系で細胞傷害因子を介した抗白血病作用が誘導された可能性が考えられる。一方、細胞傷害性T細胞やNK細胞に表出される細胞傷害因子としては、FasLやTRAILが知られている。そこで今回は、B-precursor ALLとT-ALLの細胞傷害因子感受性を明らかにするために、B-precursor ALL細胞株30株とT-ALL細胞株6株を用いて、FasLおよびTRAILに対する感受性と受容体発現を比較検討した。まず、遺伝子組換え可溶型FasLに対する感受性を^3H-thymidine uptake法で解析したところ、T-ALL細胞株はB-precursorALL細胞株と比較して高い感受性を示した。一方、可溶型TRAILに対しては、11q23転座型を除くB-precursor ALLでは約半数が高感受性株であったが、T-ALL細胞株では耐性傾向を示した。各受容体の発現をflow cytometryで解析したところ、TRAIL耐性株ではTRAIL受容体のうちdeath domainを有するDR4とDR5の発現が陰性であった。今回の解析で、TRAIL感受性株はB precursor-ALL細胞株に多く、FasL感受性株はT-ALL細胞株に多い傾向が認められたことから、感染を契機にしたALLの自然退縮にはTRAILを介した抗白血病作用が関与している可能性が考えられた。
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Research Products
(2 results)