2006 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類胚性幹細胞(ES細胞)を用いた選択的成熟赤血球産生の基盤技術開発
Project/Area Number |
17790702
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅田 雄嗣 京都大学, 医学研究科, 助手 (80397538)
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Keywords | 胚性幹細胞 / 霊長類 / 赤血球分化 |
Research Abstract |
ヒトと類似する点が多いカニクイザルから樹立されたES細胞を用い、選択的に成熟赤血球を大量産生するin vitroでの培養システムの開発を試みた。カニクイザルES細胞とマウスストローマ細胞株であるOP9細胞とを共培養し、6日目に出現する早期造血前駆細胞であるvEGFR-2high CD34+細胞をセルソーターを用いて単離した。純化したVEGFR-2high CD34+細胞は、赤血球に特異的に作用するサイトカイン(EPO、IL-3、SCF、TPO)存在下に再びOP9ストローマ細胞上で培養し、出現する血液細胞を経時的に解析した。浮遊細胞中には培養12日目と30日目をピークとした血球産生が観察され,その90%以上は赤血球であり、赤血球の約1割は脱核した成熟赤血球であった。胚型(ε、ζ)、胎児型(γ、α)、成体型ヘモグロビン(β)の各抗体を用いた免疫染色またはリアルタイムRT-PCRの継時的解析により出現した赤血球のヘモグロビンの発現パターンを継時的に解析すると、後期の赤血球産生に一致して胚型グロビン(ε、ζ)の発現低下と成体型グロビン(β)の発現上昇を認め、in vivoにおける一次造血から二次造血への赤血球造血の移行を再現していることが明らかとなった。一方、ストローマ細胞に付着した造血前駆細胞からは一次・二次造血由来のコロニーが順に出現していた。個々の赤血球系コロニーのヘモグロビンの発現パターン解析から、胚型・成体型グロビン遺伝子の発現レベルの変化が二次造血由来の個々のコロニー内で既に起こっていることが明らかとなった。この培養システムはヒトES細胞を用いた輸血可能な成熟赤血球のex vivo増殖の基盤技術開発において有用であると考えられた。
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Research Products
(4 results)