2005 Fiscal Year Annual Research Report
慢性肺疾患において宿主生来の免疫が果たす役割についての分子生物学的解析
Project/Area Number |
17790730
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
大植 慎也 大阪医科大学, 医学部, 助手 (40399085)
|
Keywords | 慢性肺疾患 / 子宮内感染 |
Research Abstract |
従来未熟児における慢性肺疾患の原因としては酸素障害、人工換気療法による直接的な肺損傷が重要な役割を果たしていると考えられてきたが、近年胎児期における子宮内感染症と慢性肺疾患の関わりが指摘されている。子宮内感染が胎児期に生じると、未熟肺に何らかの影響を与え、出生後の酸素投与や人工換気療法などと協調して肺に損傷を加えるのではないかと考えられている。本研究では未熟児における慢性肺疾患の病因、病態の解明を目的としており、今年はまず子宮内感染症と慢性肺疾患予後との関わりを重点的に調べた。 子宮内感染における起因菌としてUreaplasma urealyticum, Mycoplasma hominisが検出される頻度が高い。特にUreaplasma urealyticumは慢性肺疾患患者の気道から検出されることも多く慢性肺疾患と何らかの関わりを持っているのではないかと考えられている。従来、人工換気療法が必要な児のみを対象として呼吸予後の検討はされてきたが、人工換気療法が必要でない児での検討はされていない。そのため出生児全員に対してこれら起因菌が果たす役割の検討を行うことはできていない。それらの問題点を解決するため胃液中から起因菌の採取を試みた。平成17年4月から平成18年3月にかけて患者の胃液からPCR法をもちいてUreaplasma urealytlcum, Mycoplasma hominisの検出を試みた。その結果32週未満で出生した46人の児のうち10人からUreaplasma urealyticum,8人からMycoplasma hominisの検出に成功した。今後はこれらの児の臨床的な呼吸予後を調べるとともに、血清中のKL-6の値を測定しこれらの起因菌が肺を傷害する作用があるか生化学的な検討を行っていく予定である。またこれらの起因菌が肺に与える影響を細胞レベルでも検討していく予定である。
|