2006 Fiscal Year Annual Research Report
慢性肺疾患において宿主生来の免疫が果たす役割についての分子生物学的解析
Project/Area Number |
17790730
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
大植 慎也 大阪医科大学, 医学部, 助手 (40399085)
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Keywords | 慢性肺疾患 / 子宮内感染 |
Research Abstract |
従来未熟児における慢性肺疾患の原因としては酸素障害、人工換気療法による直接的な肺損傷が重要な役割を果たしていると考えられてきたが、近年胎児期における子宮内感染症と慢性肺疾患の関わりが指摘されている。子宮内感染が胎児期に生じると、未熟肺に何らかの影響を与え、出生後の酸素投与や人工換気療法などと協調して肺に損傷を加えるのではないかと考えられている。本研究では未熟児における慢性肺疾患の病因、病態の解明を目的としており、子宮内感染症と慢性肺疾患予後との関わりを重点的に調べた。 まず子宮内感染の指標として、新生児の胃液を採取しmicrobeを検出した(Table1)。胃液中の微生物は45%の新生児から検出された。その内訳としてはUreaplasmaが22%、Mycoplasma hominisが5%、それ以外の細菌は37%であった。これら胃液から微生物が検出された児を感染群とし、検出されなかったコントロール群との比較をおこなった。慢性肺疾患の頻度は、感染群では54%であるのに対して、コントロール群では37%であった。慢性肺疾患の中でも感染群では重症型のものが有意に多くみられた。また感染群ではコントロール群と比べ有意に子宮内感染との相関を認めた。これらの事実は微生物による子宮内感染により、子宮内で感作をうけることにより出生後の慢性肺疾患の呼吸障害が増幅されることを示している。今後は血中、気管支肺胞洗浄液中での各種マーカーを調べることで肺の障害に直接関わっている原因物質を検索していく予定である。 【table】 【table】
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