2006 Fiscal Year Annual Research Report
早期老化モデルマウスを用いたエネルギー産生機能異常の分子基盤解明
Project/Area Number |
17790733
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
秋田 幸大 久留米大学, 医学部, 助手 (20330821)
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Keywords | 老化 / 遺伝子 / ミトコンドリア / エネルギー全般 |
Research Abstract |
本研究は、単一遺伝子欠損による老化モデルであるKlotho遺伝子欠損マウスを用いて、老化症状の進行状態とエネルギー産生機能の関係に焦点を絞り、生化学的(各組織の酵素活性・酸素消費量)・遺伝学的解析(各臓器に関するミトコンドリアDNA突然変異の変化を解析し、新たな遺伝的なepigenetic factorの検討)を行った。対象は、雌雄Klotho遺伝子欠損マウスの表現型Homo, Hetero, Wildマウスを用いた。臓器としては、骨格筋(大腿筋),心筋,腎を検討した。呼吸鎖酵素活性の測定:腎;複合体IIにおいてHetero, Homoに有意な低下を認め、複合体1&IIIにおいてHomoに有意な低下を認めた。有意差はあるが、酵素欠損と診断するほどの低下は認めず。大腿筋では有意差は認めなかった。酸素消費量の測定:腎;週令7週Homoにおいて、経路I, II共に酸素消費の低下を認めずミトコンドリア機能低下が示唆された。大腿筋では有意差は認めなかった。変異ミトコンドリアDNAの蓄積:加齢(週令7週)に伴うミトニ]ンドリアDNA変異(点変異etc)の変化を、Long PCR法を用いたミトコンドリアDNA全周解析を行った。HomoとWildに有意な差は認めず、病因となるミトコンドリア遺伝子異常は認めなかった。以上の結果から、腎組織における呼吸鎖の酵素活性は残存しているが、呼吸鎖の機能低下を示唆する結果であった。また、早老症傾向を示すミトコンドリア脳筋症への治療法開発が切望されている。我々の研究では、脳卒中様発作を来す亜型(MELAS)において新しい治療法(L-arginine)を行っている (Neurology 2006 66:1766-1769、Mitochondrion 2006;7:133-139)。これらの研究成果は、今後の老化現症における分子基盤の解明が進めば、更なる治療法の開発に大きく寄与出来ると考えられる。
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