2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウムチャネル遺伝子変異によって引き起こされるてんかん発病機序の解明
Project/Area Number |
17790736
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
荻原 郁夫 独立行政法人理化学研究所, 神経遺伝研究チーム, 研究員 (30373286)
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Keywords | 脳神経疾患 / 脳・神経 / 神経科学 |
Research Abstract |
本研究は、乳児重症ミオクロニーてんかん(SMEI)患者に見いだされたナトリウムチャネルアルファ1型サブユニット(Scn1A)遺伝子変異と同一の変異を持つ遺伝子改変マウスの大脳皮質神経細胞の電気的性質を明らかにすることを目的とした。 初めに、Scn1Aチャネルの大脳皮質内分布を免疫組織学的に調べた。ホモ接合体遺伝子変異マウスを陰性コントロールに用いて免疫組織染色実験の条件検討を行い、離乳期野生型マウスにおいて、Scn1Aチャネル分子が抑制性神経細胞であるパルブアルブミン陽性細胞(あるいはバスケット、シャンデリア細胞)の細胞体とAxon Initial Segmentsに主に発現していることを明らかにした。 次に、4週齢ヘテロ接合体遺伝子変異マウスと野生型マウスの大脳皮質II/III層バスケット細胞の発火様式を膜電流固定下で調べた。ヘテロ接合体マウスと野生型マウスの間で、通電刺激に対する単発発火の膜電位閾値、活動電位振幅の大きさに差は認められなかった。しかし、連続発火では活動電位振幅の著しい減弱が、ヘテロ接合体マウス特異的に認められた。また、ヘテロ接合体マウスの大脳皮質錐体細胞の発火様式に異常は認められなかった。以上の結果から、Scn1Aチャネルが大脳皮質パルブアルブミン陽性バスケット細胞の発火に重要であり、SMEI発症機序はScn1A遺伝子変異による抑制性神経回路機能の異常である可能性が示唆される。 本研究の成果はJournal of Neuroscienceに投稿し、リバイズ中である(Ogiwara et al.,in revision.)。
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Research Products
(1 results)