2006 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解分光システムを用いた低酸素性虚血性脳症の治療に関する研究
Project/Area Number |
17790743
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
大久保 賢介 香川大学, 医学部, 助手 (80335851)
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Keywords | 時間分解分光システム / 平均光路長 / エダラボン / 脳血液量 / 新生仔豚 / 遅発性脳エネルギー代謝不全モデル / 不整脈 / 脳血流量 |
Research Abstract |
【目的】脳梗塞急性期の治療薬として使用されているエダラボンは、そのフリーラジカル消去作用より低酸素性虚血性脳症の治療への応用が期待されている。今回我々は新生仔豚で臨床的新生児仮死に近い遅発性脳エネルギー代謝不全モデルを作成し、エダラボン投与時の脳循環代謝に与える影響を時間分解分光法(TRS)を用いて検討した。 【対象】新生仔豚6頭(エダラボン投与群3頭,非投与群3頭)。 【方法】全身麻酔下に計75分間の低酸素虚血負荷を行い、蘇生後24時間人工換気を継続した。蘇生後30分と12時間後の2回、研究直前に調整したエダラボン3mg/Kgを静脈内投与した。TRSを用いた脳内血液量および平均光路長の変化を24時間測定した。また同時に31P-MRSで脳内エネルギー状態を、多チャンネル近赤外分光装置で脳血流を経時的に測定した 【結果】エダラボン投与において血圧、心拍数、体温に有意な変化を認めなかったものの、一例が経過中不整脈により心停止をきたした。エダラボン投与群は非投与群と比較して、蘇生後の脳血流量、脳内エネルギー状態は比較的良好に保たれていた。同様にTRSで測定した脳血液量もエダラボン投与群は蘇生後24時間を通して安定し、平均光路長も非投与群に見られた蘇生後の上昇を認めず、安定していた。 【考察】初年度の先行研究にて測定したエダラボンの血漿中濃度の変化は投与後5分に1490.37±608.15ng/mlとCmaxをとり、半減期も16.0分と早い。一例に認めた不整脈は、蘇生後12時間のエダラボン投与約1時間後に発症しており、エダラボンとの因果関係は不明である。しかし、投与されたエダラボン量は消去されるラジカル量と比べ生体では過剰に存在するものと思われ、投与量の再考の必要性が示唆された。また検討数が少ないが、エダラボン投与が脳循環代謝の改善に効果を示す可能性も示唆された。
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