2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト表皮角化細胞の増殖・分化における核移行制御の分子機構
Project/Area Number |
17790767
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梅垣 知子 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80397629)
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Keywords | ヒト表皮ケラチノサイト / karyopherinα2 / インボルクリン / IFN-γ / IRF1 / 分化・増殖 |
Research Abstract |
これまでの研究によりヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)においてkaryopherinα2(KPNA2)の発現が、NHEKの分化・増殖に関わるサイトカインであるIFN-γおよびTGF-βによって変動することを明らかにした。さらにKPNA2のNHEKにおける機能を見るため、まずNHEKにKPNA2を強発現させた系とsiRNAを用いて発現を抑制した系を作成し、各々コントロールと比較して、KPNA2の発現量の変化がNHEKの遺伝子発現に与える影響につきマイクロアレイを用いて調べた。KPNA2強発現により発現が上昇した遺伝子群とKPNA2抑制により発現が抑制された遺伝子群のうち、共通のものをKPNA2により特に発現が制御される遺伝子群と考え、NHEKの分化に関わるカテゴリーを用いてデータ解析を行ったところ、ケラチン1、10、インボルクリンなどの分化関連遺伝子がKPNA2の変化により発現が上昇/抑制されることが明らかになった。一方ケラチン5、14などの未分化マーカーには変動は見られなかった。これらの事からKPNA2はNHEKの分化を促進するために必要な転写因子を核内へ輸送している可能性が示唆された。 また、IFN-γによるシグナル伝達において重要な役割をもつIRF1は、NHEKの分化・増殖に関連する転写因子の一つでもある。IRF1の核内輸送をKPNA2が担っているかどうかを調べるため、KPNA2-FLAG tag、IRF1-myc tagの発現ベクターを作成してCOS-7細胞に導入し、anti-FLAG抗体を用いた免疫沈降法を行ったところ、KPNA2とIRF1の結合を示すバンドがウェスタンブロットによって確認された。同様に発現ベクター:IRF1-FLAG tag、KPNA2-myc tagを作成して免疫沈降を行い、KPNA2とIRF-1の結合を確認した。これらのことから、IFN-γのシグナル伝達系にKPNA2がIRF1の核内輸送を介して関わることで、NHEKの分化・増殖に影響を与えている可能性が示唆された。
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