2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト表皮角化細胞の増殖・分化における核移行制御の分子機構
Project/Area Number |
17790767
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梅垣 知子 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80397629)
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Keywords | ヒト表皮ケラチノサイト / karyopherinα2 / インボルクリン / IFN-γ / IRF1 / 分化・増殖 |
Research Abstract |
karyopherinα2(KPNA2)のヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)における機能を見るため、まずNHEKにKPNA2を強発現させた系とsiRNAを用いて発現を抑制した系を作成し、各々コントロールと比較して、KPNA2の発現量の変化がNHEKの遺伝子発現に与える影響につきマイクロアレイを用いて調べた。KPNA2強発現により発現が上昇した遺伝子群とKPNA2抑制により発現が抑制された遺伝子群のうち、共通のものをKPNA2により特に発現が制御される遺伝子群と考え、NHEKの分化に関わるカテゴリーを用いてデータ解析を行ったところ、ケラチン1、10、インボルクリンなどの分化関連遺伝子がKPNA2の変化により発現が上昇/抑制されることが明らかになった。特にインボルクリンについて、real-time PCRを用いてこれらの変化を確認した。これらの事からKPNA2はNHEKの分化を促進するために必要な転写因子を核内へ輸送している可能性が示唆された。 また、IFN-γによるシグナル伝達において重要な役割をもつIRF-1は、NHEKの分化・増殖に関連する転写因子の一つでもある。IRF-1の核内輸送をKPNA2が担っているかどうかを調べるため、免疫沈降を行い、NHEKでのendogenousなKPNA2とIRF-1の結合を確認した。さらに、siRNAを用いてあらかじめKPNA2の発現を抑制した状態で、NHEKにIFN-γ刺激を行い24時間後に免疫染色を行ったところ、コントロールではIRF-1が核内移行しているが、KPNA2の発現を抑制した系ではIRF-1は細胞質に留まっており、KPNA2との二重染色で共に細胞質に分布する傾向があることを証明した。これらのことから、IFN-γのシグナル伝達系にKPNA2がIRF1の核内輸送を介して関わることで、NHEKの分化・増殖に影響を与えている可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)