2005 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚親和性CD8Tリンパ球の分化とフコース転移酵素群の発現解析
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17790776
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
高橋 良 杏林大学, 医学部, 助手 (00317091)
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Keywords | 皮膚ホーミングT細胞 / E-セレクチン / 皮膚リンパ球関連抗原 / CLA / フコシルトランスフェラーゼ / サイトカイン / ホーミングレセプタ / CD8 |
Research Abstract |
常に種々の抗原や細菌・ウィルス・化学物質などの刺激に暴露されている皮膚は、生体の最前線のバリアーとして働いている。このバリアーは、様々な免疫担当細胞の存在によって担われており、末梢血から皮膚へ浸潤した皮膚親和性のリンパ球(メモリーT細胞)が関与している炎症反応は、最も一般的な"防御反応"である。特にCD8^+Tリンパ球はウィルスに対して主要な防御機構を担っており、ウィルスが感染した皮膚の局所へ特異的に反応するリンパ球が「ホーミング」して生体防御反応を行っている。CD8^+Tリンパ球の場合、皮膚ホーミングレセプターに関しての研究報告はCD4^+Tリンパ球と比較すると非常に少なく、CLA発現のup-regulation・down-regulation程度で、E-selectin ligand(ESL)発現のメカニズムや分化については殆ど判っていない。我々は最初にヒト健常末梢血リンパ球(PBMC)を用いてCD8^+T細胞のE-selectinおよびCLAの発現を調べた。PBMCをE-selectin/Human IgG/Fcキメラでインキュベート後、anti-human IgG/Fc mAb・anti-human CLA mAb・anti-human CD8で染色し、フローサイトメトリーで測定した。その結果、同一健常人のCD4^+T細胞と比較すると、CLAの陽性率は約半分程度しか発現していなかった。一方、ESLの発現はCD4^+T細胞と同様に、すべてのCLA^+細胞がE-selectinと結合するわけではなく、CLA^+細胞の半分以下の細胞のみ(ESL^+CLA^+細胞)が結合することを見いだした。また、CLA^-細胞でもE-selectinと結合する(ESL^+CLA^-細胞)ことも同時に見いだした。次にPBMCからナイーブCD8^+T細胞を分離し、anti-CD3抗体で刺激してCLAとESLの発現を継時的に調べた。細胞が活性化するとESLのみ発現し、CLAは検出できなかった。この細胞を刺激が無いresting環境へ移すとCLAが発現した。以上の結果は、以前我々が見いだした皮膚ホーミングCD4^+細胞と同様な分化過程を示す事が予想され、次年度以降はESLやCLAの発現を制御するフコシルトランスフェラーゼの発現を継時的に調べ、皮膚ホーミングCD8^+T細胞の分化過程を明らかにする。
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