2006 Fiscal Year Annual Research Report
モザイクを呈する皮膚疾患の遺伝子解析ならびに病態解明への応用
Project/Area Number |
17790780
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
齋藤 昌孝 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30306774)
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Keywords | モザイク / CHILD症候群 / X染色体不活化 / HUMARA法 |
Research Abstract |
臨床的に皮疹がモザイク状の分布を呈する皮膚疾患の遺伝子解析ならびに病態解明への応用を行うにあたり、遺伝子解析によって遺伝子変異をすでに同定していたCHILD症候群(伴性優性遺伝形式を取り、原因遺伝子はx染色体上のNSDHL遺伝子)の症例を対象として解析を始めた。皮疹部位と健常部位における遺伝子の発現の違いが、X染色体不活化の影響による機能的モザイクの結果として生じ表現型に関与しているのかどうかを調べるために、HUARA法を利用した。皮疹部位と健常部位からそれぞれ施行した皮膚生検のパラフィン切片から、DNA抽出キットを用いてDNAを効率よく抽出して、PCRにてHUMARA遺伝子の増幅を様々な条件を変えながら繰り返し試みたが、その後の解析を進める上で必要となる十分な増幅を一定して得るまでには至っていない。原因として、生検検体が小さいため、パラフィン切片から抽出できたDNAの量が十分ではなかったこと、検体がホルマリン固定パラフィン包埋されたものであり、DNAが寸断されているためにPCRでの増幅がうまくいかなかった可能性などが考えられた。一方、HUMARA遺伝子がPCRで増幅できた場合には、そのPCR産物のサイズをキャピラリー電気泳動であるGene Scanを用いて定量したが、X染色体不活化の偏りが存在することを示すためには数bpの差を検出する必要があり、期待される結果は得られていない。この原因としては、HUMARA遺伝子の増幅を行った際に、一般的なPCRよりもサイクル数を増やさざるを得なかったために、非特異的な産物も無視できないほどに増えてしまった可能性が考えられる。今後の改善点としては、あらかじめ十分量の凍結保存用検体を採取し、そこからDNAを抽出すれば、HUMARA遺伝子の増幅やPCR産物のGene Scanによる解析をより鋭敏に行うことができるものと考えている。
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