2005 Fiscal Year Annual Research Report
天疱瘡モデルマウスを用いた病因的デスモグレイン3反応性T細胞の解析
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17790781
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 勇人 慶應義塾大学, 医学部, 嘱託(非常勤) (40398615)
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Keywords | 天疱瘡 / マウス / デスモグレイン3 / T細胞クローン |
Research Abstract |
本年度はデスモグレイン(Dsg)3反応性T細胞クローン株を樹立するため、マウス免疫用、T細胞刺激用の抗原を作成し、クローニング作業をすすめ、以下のような結果が得られた。 1.T細胞刺激用のDsg3抗原の作成精製。 大腸菌の発現系を用いてDsg3細胞外領域を5つのmDsg3断片(rmDsg3-1〜rmDsg3-5)に分割し、maltose-binding protein (MBP)との融合タンパクとして発現、精製した。それぞれの精製リコンビナント蛋白の純度はSDSポリアクリルアミド電気泳動後のクマシーブルー染色により評価し、いずれも95%以上であった。また、バキュロウイルスベクターを用いて昆虫細胞の培養系でmDsg3の細胞外ドメインとE-tag、His-tagとの融合タンパク(rmDsg3)を発現、精製した。純度はおよそ80%であった。 2.Dsg3反応性T細胞クローン株の樹立。 Dsg3^<-/->マウス両足底をrmDsg3で免疫後、膝窩リンパ節細胞をin vitroにおいてrmDsg3-1〜rmDsg3-5で刺激し、限界希釈法によりDsg3反応性T細胞株を樹立した。T細胞受容体Vβ鎖特異的なプライマーを用いたfamily PCRで5つのT細胞株がクローンであった。全てはMHC class II拘束性の反応性を示したが、数が少なく、Vβ chain usageとT細胞エピトープとの間の関連性は不明であった。またT細胞株は様々なサイトカイン発現パターンを示した。 3.Dsg3反応性T細胞クローン株の病原性の確認。 2株についてin vivoにおける病原性を確認した。あらかじめrmDsg3で免疫したDsg3^<-/->マウス脾臓からCD4およびCD8陽性細胞を除去した後に、B220陽性細胞を磁気ビーズで単離し、培養T細胞クローン株とともにRag2^<-/->マウスに移植した。その結果、Th0型クローン株を移植したRag2^<-/->マウスでは血清抗Dsg3抗体価上昇、口蓋粘膜の棘融解像、皮膚びらんをみとめたが、Th1型T細胞クローン株を移植したマウスでは認めなかった。 本年度の検討で、Dsg3反応性T細胞クローン株を効率よく樹立できることが分かった。現在までのところ、T細胞株の数が少なく、病原性と関連するT細胞の因子は不明であるが、来年度は数を増やすことによって、それを明らかにしていく予定である。
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