2005 Fiscal Year Annual Research Report
モデルマウスを用いた毛包分化におけるデスモグレイン4の機能解析
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17790783
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山上 淳 慶應義塾大学, 医学部, 嘱託(非常勤) (80327618)
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Keywords | 細胞・組織 / 免疫学 / デスモゾーム / 脱毛 |
Research Abstract |
2003年に新しいデスモゾームカドヘリンであるデスモグレイン4(Dsg4)が確認され、ヒトとマウスの遺伝性発毛異常で、Dsg4をコードする遺伝子に異常があることが判明した。Dsg4がとくに内毛根鞘および毛包を形成する角化細胞に強く発現していることが明らかになり、毛髪の形成および維持に重要な役割を持つデスモグレインアイソフォームと推測された。本研究は、Dsg4特異的な免疫反応を惹起してDsg4自己免疫モデルマウスを作成することにより、毛包形成と後天性脱毛症におけるDsg4の役割を解析することを目的としている。 本年度の計画。Dsg4ノックアウト(Dsg4^<-/->)マウスは欠失しているDsg4に対して免疫寛容が成立していない。そのためDsg4^<-/->マウスに組換えDsg4蛋白を免疫すると、Dsg4に対する自己抗体の産生が期待される。Dsg4を発現している野生型マウスを放射線照射することにより免疫不全状態を作り、免疫したDsg4^<-/->マウスの脾細胞(T細胞、B細胞を含む)を移植する。移植した細胞の定着により、持続的に自己抗体の産生を起こすDsg4自己免疫モデルマウスが作成できると考えた。 野生型に比べて、ひげがない、まだらに脱毛部が存在し毛が短い、皮膚のきめが粗い、といった特徴的な所見を有するDsg4^<-/->マウスに対して、組み替えDsg4蛋白をアジュバントと混和して皮内投与を繰り返すことにより免疫を試みた。免疫回数、間隔などを変えて数ヶ月にわたって続けてきたが、Dsg4に特異的な抗体産生は認められなかった。最近、毛髪基質内におけるDsg4の発現を示唆する報告があり、Dsg4が免疫系に暴露されにくいため抗体ができない可能性もある。現在、Dsg4^<-/->マウスに野生型マウスの皮膚を移植するなど、免疫法を工夫してDsg4特異抗体の誘導をめざしている。
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