2005 Fiscal Year Annual Research Report
成人T細胞性白血病腫瘍細胞の制御性T細胞としての特性についての研究
Project/Area Number |
17790798
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
島内 隆寿 産業医科大学, 医学部, 助手 (90399204)
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Keywords | 癌 / 免疫学 / ウイルス / 感染症 |
Research Abstract |
成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATL)腫瘍細胞は制御性T細胞(Treg)と同じ表面マーカー(CD4^+CD25^+)を有するが、Treg活性があるかどうかは未解決である。一方で、cytotoxic T lymphocyte associated antigen-4(CTLA-4)はTregに特異的なマーカーの一つである。そこで我々は、ATL患者19例について腫瘍細胞上のCTLA-4、Foxp3発現とTreg機能の有無を検討した。末梢血単核球(PBMC)中のCD4^+CD25^+細胞上に発現するCTLA-4、あるいはCD4^+細胞上に発現するFoxp3をフローサイトメトリーで解析したところ、白血化した2例で正常人に比べてCTLA-4の高い発現を認めた。また4例の皮膚腫瘤中の腫瘍細胞でも同様に高発現されており、その内1例はFoxp3を高発現していた。皮膚凍結切片を用いた免疫組織染色法では、10例中5例で腫瘍細胞にCTLA-4の発現を認めた。次に、患者および正常人PBMCを分離し、抗CD3/CD28抗体共刺激下に培養したところ、ATL患者CD4^+CD25^+細胞は培養12時間後に正常人に比べ、有意にCTLA-4の発現増強を認めた。しかし、その培養上清中のIL-10値は正常群と同等であった。最後にATL細胞のTreg機能の有無を確認するため、末梢血中の腫瘍細胞が25%以上存在する患者2名とそれ以下の患者2名からimmunomagnetic beadsを用いてCD4^+CD25^+細胞を分離した。また、皮膚に腫瘤を形成する2症例より浸潤腫瘍細胞を準備した。そして、これら腫瘍細胞がアロ抗原に対する混合リンパ球反応試験における患者CD8^+T細胞増殖に及ぼす効果を検討した。その結果、正常人より得られたCD4^+CD25^+細胞はCD8^+T細胞増殖を有意に抑制したが、ATL患者のCD4^+CD25^+細胞および皮膚浸潤腫瘍細胞はCD8^+T細胞の増殖を抑制しなかった。以上より、ATL腫瘍細胞は白血化したり活性化状態ではCTLA-4を強く発現するものの、Treg機能は有さないことが示唆された。
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