2006 Fiscal Year Annual Research Report
成人T細胞性白血病腫瘍細胞の制御性T細胞としての特性についての研究
Project/Area Number |
17790798
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
島内 隆寿 産業医科大学, 医学部, 助手 (90399204)
|
Keywords | 癌 / 免疫学 / ウイルス / 感染症 |
Research Abstract |
我々は、成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATL)患者の末梢血及び皮膚病変から腫瘍細胞であるCD4^+CD25^+T細胞を分離し、制御性T細胞としての機能を調べた。その結果、腫瘍細胞群では制御性T細胞の特異的マーカーであるCTLA-4およびFoxp3を強く発現する症例が認められたものの、その機能は認められなかった。そこで同じCD28ファミリーの1つで、主に抗原提示細胞上に発現する2種類のリガンド、programmed cell death(PD)-ligand 1,2(PD-L 1,2)を介して、 T細胞の反応を負に制御するPD-1に着目した。我々は、10名のATL患者における末梢血CD4^+ならびにCD4^+CD25^+T細胞表面のPD-1、PD-L1,2の発現をフローサイトメトリー法で解析した。その結果、正常人と比較して、患者群におけるCD4^+, CD4^+CD25^+T細胞上のPD-1の発現が正常人に比較して有意に増加していた。次にATL患者の末梢血単核球を抗CD3抗体で3日間刺激したところ、正常人に比べて増殖能の低下を認め、特にPD-1発現患者で顕著であった。しかしこうした増殖能の低下はPD-1/PD-L 1の中和抗体を添加しても、増殖能の回復は認められなかった。以上の結果は極めて慢性的にHTLV-1感染を生じているCD4^+T細胞はPD-1を発現した、いわゆる疲弊状態であり、これが患者の免疫不全状態にっながっている可能性を見いだした。しかし、PD-1/PD-L1 pathwayを遮断しても機能は回復されない可能性も示唆された。
|
Research Products
(4 results)