2005 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン病の発症前診断および治療法の臨床研究へのアプローチ
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17790802
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石川 謙介 東北大学, 大学院・医学系研究科, リサーチ・レジデント (70374931)
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Keywords | プリオン病 / 神経科学 / 生体分子 / 臨床 |
Research Abstract |
本課題においてはβアミロイドプローブ化合物のプリオン病への応用を試み、病原因子画像化および治療薬開発の基礎研究を行った。今年度は病理標本を用いた病変描出と、モデル細胞における治療効果を検討した。 (病理標本における病変描出) ヒトプリオン病(GSS,sCJD,duraCJD)脳標本をβアミロイドプローブ化合物溶解液で染色し、蛍光顕微鏡で観察した。今年度はStyrylbenzoazole関連化合物に注目し、異常プリオン蛋白の斑状沈着が高い感度で蛍光染色された。染色は十分な分別の後は背景をほとんど染めず、極めて特異的であった。しかし、いずれの化合物でも免疫染色においてsCJD大脳皮質に認められた瀰漫性微細顆粒状異常プリオン蛋白沈着、あるいはduraCJD・脳の空胞周囲性沈着を検出することは出来なかった。 (プリオン持続感染細胞における治療効果) モデル培養細胞の培地中に、Styrylbenzoazole関連化合物を種々の濃度で加えた。細胞を回収し、蛋白質分解酵素抵抗性の異常型プリオン蛋白産生量をウエスタンブロット法により検討した。検討した多くの化合物について抗プリオン効果を認めた。50%の異常型プリオン蛋白産生阻害を生じるのに必要な濃度(IC50)はナノモルオーダーのものが殆どで、かつ細胞毒性は10μMまで認められず非常に広く安全な治療域が期待された。イメージング研究の結果から、抗プリオン効果の作用機序としては化合物が異常なプリオン蛋白凝集と結合することにより新たな異常型プリオン蛋白の産生を阻害することが示唆された。 これらの化合物はプリオン病診断用プローブとしてだけでなく、予防・治療薬としても有用である可能性がある。
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