2005 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲脳計測を用いた広汎性発達障害の素因・発病マーカーの解明
Project/Area Number |
17790806
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川久保 友紀 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (40396718)
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Keywords | 広汎性発達障害 / 脳画像 / 3次元MRI / 近赤外線スペクトロスコピー |
Research Abstract |
脳構造指標として、広汎性発達障害者および健常対照者を対象に、1.5TのMRI三次元撮像を行い、voxel-based morphomtery(VBM)を用いて、広汎性発達障害者の脳体積異常を検討するとともに、一卵性双生児一致例1組の共通点・相違点について検討を行った。その結果、広汎性発達障害群において前頭前野、紡錘状回、扁桃体、上側頭回の灰白質体積が有意に小さく、一卵性双生児一致例では前頭前野、紡錘状回、上側頭回の体積減少は共通であったが、扁桃体の体積減少は抑うつ症状を伴った片方にのみ存在することが示された。これらの結果は、広汎性発達障害者において社会性やコミュニケーションにかかわる脳部位のネットワーク障害が存在すること、またこれらの異常はおおむね遺伝的脆弱性と関連しているが、扁桃体の異常に関しては、非遺伝的な因子に規定される可能性があることを示唆している。 脳機能指標として、近赤外線スペクトロスコピー計測を行い、語流暢性課題施行時の前頭前野の酸素化ヘモグロビン変化量を健常児・者と健常同胞児・者および広汎性発達障害児・者とで比較した。その結果、小児においては3群間に有意な差をみとめなかったものの、成人においては健常統制群および健常同胞群に比べ広汎性発達障害群における変化量の著明な減少をみとめた。これらの結果は、広汎性発達障害において前頭葉機能が未成熟であること、さらに健常同胞においては異常がみとめられなかったことから、前頭葉機能の未成熟は素因ではなく発病と関連することを示唆している。
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