2005 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病の薬物治療反応性マーカーに関する分子薬理ゲノム研究
Project/Area Number |
17790807
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 雄太郎 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (60377158)
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Keywords | 薬理遺伝学 / うつ病 / 薬剤反応性 / 抗うつ薬 / ゲノム / テーラーメイド薬物療法 |
Research Abstract |
1.背景 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)によるうつ病の治療において、30〜40%の頻度で出現する嘔気などの消化器系副作用は治療中断の最大の原因である。これらは5-HT2A受容体や5-HT3受容体を介して出現すると考えられているが、各受容体遺伝子多型と副作用との関連についてはほとんど報告がない。一方、SSRIであるfluvoxamineの代謝にはcytochromeP450(CYP)2D6が関与しており、本酵素の活性を規定する遺伝子多型も副作用予測因子となる可能性が考えられる。 2.対象と方法 対象は研究内容を説明し、書面にて同意を得たうつ病外来患者178名。SSRIであるfluvoxamineまたはparoxetineで治療し、副作用評価を行った。5-HT2A,5-HT3B受容体及びCYP2D6遺伝子多型をPCR法により同定した。 3.結果 Fluvoxamine群100名において、5-HT2A受容体A-1438G多型のGアレルの数は消化・器系副作用出現に有意な影響を与え、A/G、G/G遺伝子型はA/A型に比べてそれぞれ2.171(p=0.041)、2.926(p=0.008)倍副作用出現頻度が高かった。CYP2D6遺伝子型を用いて表現型を2群に分けて検討したところ、代謝低下群は正常群に比べて1.821(p=0.043)倍消化器系副作用出現頻度が高かった。 CYP2D6及び5-HT2A遺伝子型を組み合わせて分析したところ、代謝低下群でA/GまたはG/G遺伝子型を持つ個体の副作用出現リスクは、代謝正常群でA/A遺伝子型を持つ個体に比べてそれぞれ4.147(p=0.004)、4.242(p=0.009)倍であった。 Paroxetine群78名において、5-HT3B受容体遺伝子Tyr129Ser多型のTyrを有する患者で有意に嘔気を発生する頻度が高かった(p=0.014)。
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Research Products
(2 results)