2005 Fiscal Year Annual Research Report
ライソゾーム蓄積病の神経障害におけるα-シヌクレインの役割
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17790817
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
山口 章 横浜市立大学, 医学部, 客員研究員 (20381585)
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Keywords | Sandhoff病 / ライソゾーム病 / アルファーシヌクレイン / ヘキソサミニダーゼ |
Research Abstract |
サンドホフ病モデル(hexb-/-)マウスとジャクソンラボラトリーより購入したアルファーシヌクレイン(asyn-/-)マウスを交配し、hexb-/-,asyn-/-マウスを作製後、5代バッククロスを行い、遺伝的背景を揃えた。作製したhexb-/-,asyn-/-マウスの脳からmRNA及びタンパク質を精製し、RT-PCR法、ウエスタンブロット法でアルファーシヌクレインの発現を調べた結果、hexb-/-,asyn-/-マウスでは、発現が認められなかった。 1)運動能、寿命の比較 10週齢の野生型(WT)マウス、hexb-/-マウス、hexb-/-,asyn-/-マウスの運動能を経時的に14週齢までロタロッドで測定を行い、同時に体重の測定も行った。その結果、運動能、体重共にhexb-/-マウスとhexb-/-,asyn-/-マウスの間には有意な差は見られなかった。また、寿命についてカップランマイヤーの生存曲線用いて評価したが、有意な差は見られなかった。 2)病理学的解析 末期である15週齢のhexb-/-マウス、hexb-/-,asyn-/-マウスの脳の組織を、HE染色を用いて組織標本を作製し、病理学的評価を行った。hexb-/-,asyn-/-マウスの脳の神経細胞は、hexb-/-マウスに比べて若干肥大しているのが確認できた。糖を特異的に染色するPAS染色法を用いて染色したところ、肥大の原因が糖脂質の蓄積によるものと示唆された。それぞれの脳からガングリオシドを精製し、HPTLC展開したところ、hexb-/-,asyn-/-マウスは、hexb-/-マウスに比べて、ガングリオシドの蓄積量が増加していることが確認できた。hexb-/-,asyn-/-マウスの脳を、Neu抗体で神経細胞の数、KB染色で脳の繊維化を評価が、目立った変化は見られなかった。 hexb-/-,asyn-/-マウスは、hexb-/-マウスと比べて運動能及び寿命に変化が見られなかったが、ガングリオシドの蓄積に変化が見られた。アルファーシヌクレインは、通常ライソソームにも存在しており、ガングリオシドの蓄積によるMCBの形成に関与している可能性もある。今後、サンドホフ病におけるアルファーシヌクレインの炎症反応への関与とガングリオシドのMCBへの関与について評価していく。
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