2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17790820
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
上野 美華子 Teikyo University, 医学部, 特別研究員 (00398736)
|
Keywords | 転移因子 / 新規挿入 / 統合失調症トリオ / ゲノム不安定性 / Tigger / piggyBac |
Research Abstract |
内在性変異原であるヒト転移因子は、通常、転移因子はメチル化によって強く抑制されているが、挿入および欠失などによって遺伝子の構造変異を引き起こし、様々な疾患の病因として報告されている。統合失調症においても、ゲノム不安定性および染色体脆弱性は古くから関連が議論され、活性化転移因子によるゲノム構造変異が推測される現象は数多く報告されている。以上のことから、われわれは統合失調症に転移因子の動態が深く関与しているとの仮説を提唱し、本研究では統合失調症の病因としての転移因子の役割を明らかにするとともに、転移因子の患者特異的挿入変異を同定し、疾患への寄与率の高い原因遺伝子あるいは領域の選抜を目指した。初年度の本研究において選抜した胎生期脳内活性化転移因子のうち、piggyBacについて患者特異的な新規挿入領域の探索を行った。統合失調症トリオゲノムDNA(患者とその両親)を対象に、DNA Walking法を用いて患者特異的挿入領域の同定を試みた結果、患者特異的な新規挿入変異が同定された。さらに、前年度のTiggerおよび今年度のpiggyBacスクリーニングによって検出された患者特異的な新規挿入変異領域から、疾患に寄与する可能性の高い2つの候補遺伝子を選抜した。これらの遺伝子は、いずれもゲノム不安定性やアポトーシスに関与し、神経可塑性にも重要な役割を果たしていることが明らかとなっていることから、患者ゲノム内における転移因子の動態と統合失調症への直接的な関与が推察された。
|
Research Products
(4 results)