2005 Fiscal Year Annual Research Report
気分安定薬によるMATH-2転写因子のリン酸化を介した転写調節機構
Project/Area Number |
17790824
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
高橋 清文 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究補助員 (70398965)
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Keywords | 脳・神経 / シグナル伝達 / 行動学 / 薬剤反応性 |
Research Abstract |
本研究はリチウムをはじめとする気分安定薬の作用機序解明のため、投薬処理したラットの脳で増加が見られたGAP-43とその転写調節因子MATB-2の分子メカニズムにスポットを当てた。特にシグナル伝達において不可欠なリン酸化に着目し、MATH-2もまた翻訳後修飾を受けて機能性を帯びていると考え、そのリン酸化ドメインの特定を主題に置いた。現在、種々の制限酵素により切断し作成した10個の変異体を用い、western blotを行っている。しかし市販の抗リン酸化たんぱく質抗体では明確なシグナルを得られていない。'改善点として、(1)GAP-43のmRNAを増幅させるという報告のあるレチノイン酸を用いMATH-2に変化を与える、(2)ウェブ上のドメイン検索を利用しリン酸化酵素にある程度の目星をつけ、そのドメインの欠損変異体で^<32>Pを直接あてがう、(3)リン酸化たんぱく質のアフィニティーゲルにより回収したリン酸化たんぱく質を、汎用のタグ抗体により検出する、など考察している。質量分析の実験例が本学で揃っていることも、有効に利用したい。こうしてMATH-2のリン酸化ドメインを特定し、このことがGAP-43の転写を正あるいは負、どちらに活性化させるのかを解明できれば、現在並行して行っている前脳特異的にMATE-2を過剰発現するトランスジェニックマウスの行動解析の裏付けを取ることもできる。また、GAP-43の欠損マウスでは行動活性が高まり、不安行動が顕著になるという報告と、逆にGAP-43の過剰発現マウスでは記憶学習能力が高まるということが示されており、GAP-43の転写調節が、すなわちシグナル伝達上のMATH-2の翻訳後修飾がこれらの生理機能に影響をもつことは想像に難くない。トランスジェニックマウスへの気分安定薬投与により、MATH-2のリン酸化と行動の変化との関係を示唆できれば、リチウムなどの作用機序を明確にできるものと考える。
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