2005 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症におけるプレパルスインヒビションの臨床評価と分子基盤の解明
Project/Area Number |
17790828
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
豊田 倫子 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, 研究員 (20392045)
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Keywords | プレパルスインヒビション / 統合失調症 / エンドフェノタイプ / 遺伝子研究 |
Research Abstract |
統合失調症は、現在までに多方面からの研究が行われているにも関わらず、疾患の病態は未だ解明されていない。プレパルスインヒビション(prepulse inhibition : PPI)は統合失調症病態解明の有力な手がかりである客観的・生物学的指標のエンドフェノタイプ(内因的生理生化学的パラメータ)の一つであり、本研究ではこれを用いて統合失調症を病態解明を目指す。 平成17年度は、直ちにプレパルスインヒビションのデータ収集を行う予定であったが、日本国内でヒトPPI研究に関するまとまった報告がみられず、近年、コーカシア人とアジア人の間でPPIに関する表現系に差異を認める報告があったため、これまで得られていたPPIの基礎データの解析、検討を重点的に行った。平成17年以前に、米国カリフォルニア州立大学サンディエゴ校(UCSD)のDavid Braff教授の研究室で習得した実験系について、日本人を対象として追加の基礎データをとり、検討を重ねた。 また、東京都内、静岡県内、福島県等に出向き、今後のサンプリングの打ち合わせを行った。データ解析用ソフトウエアと、専用のコンピューターを購入して情報管理を徹底して行った。データは現在解析中であるが、基礎検討のサンプルに関しては、驚愕反応の大きさが、従来報告されている欧米の論文中に示されている値よりも、日本人の反応値は低い傾向にあるとの結果を得た。驚愕反応の大きさは%PPIの値に影響を与えるため、データ解析の際に考慮が必要である。更に、PPIの解析上必要とされているパラメータ設定が、コーカシア人のデータ解析に用いられている値のままでは日本人に不適当であるという所見も得られている。 今年度は、サンプリング時のパラメータ設定やデータ解析において、考慮すべき重要な所見が得られた。
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