2006 Fiscal Year Annual Research Report
気分安定薬のミトコンドリアカルシウムシグナリングに与える影響
Project/Area Number |
17790829
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
数野 安亜 独立行政法人理化学研究所, 精神疾患動態研究チーム, リサーチアソシエイト (40360523)
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Keywords | 双極性障害 / ミトコンドリアDNA多型 / カルシウム / サイブリッド / 気分安定薬 / カルシウムイメージング |
Research Abstract |
核とミトコンドリアにratiometric-Pericamタンパク質を導入したサイブリッドをそれぞれ双極性障害に有効な薬物である気分安定薬(0.75mM,1.5mMリチウム、0.6mM,1.2mMバルプロ酸)で7日間処理し、アゴニスト刺激を行い、細胞内およびミトコンドリア内のカルシウム濃度の測定を行った。気分安定薬で処理していないサイブリッドについても同様の実験を行った。これまでのわれわれの研究より双極性障害との関連が報告されているミトコンドリアDNA多型(10398A)を持つサイブリッドでは静止時のミトコンドリアのカルシウムレベルが高いことがわかっている。ミトコンドリアDNA(8701A/10398A)を持つ健常被験者由来のサイブリッドを1.2mMのバルプロ酸で処理すると何も処理していない細胞に比べ、静止時とプラトー時(アゴニスト刺激後カルシウムレベルが静止時レベルまで回復した時)のミトコンドリアのカルシウムレベルが減少することがわかった。また、1.2mMのバルプロ酸で処理した細胞ではプラトー時の細胞質のカルシウムレベルも減少することがわかった。さらにミトコンドリアDNA(8701G/10398G)を持つ健常被験者由来のサイブリッドでも同様に調べたところ、気分安定薬の有無で細胞内のカルシウムレベルが有意に変化することはなかった。このことより、バルプロ酸は高いミトコンドリアのカルシウムレベルにおいてのみ細胞内カルシウムレベルを安定化させる作用があるのかもしれない。また、同様の細胞を用いて、細胞死の検出についても検討した。サイブリッドを細胞死誘導薬剤(staurosporineやA23187)で処理し、ATPを指標としたアッセイ系で細胞生存率を調べた。
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