2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いた双極性障害モデル動物の作出と実証
Project/Area Number |
17790830
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
笠原 和起 独立行政法人理化学研究所, 精神疾患動態研究チーム, 基礎科学特別研究員 (50344031)
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Keywords | 躁うつ病 / 双極性障害 / モデル動物 / ミトコンドリア / POLG / 概日リズム / リチウム |
Research Abstract |
本研究では、双極性障害(躁うつ病)のミトコンドリア異常仮説に注目し、モデルマウスを作出・検証を行っている。核ゲノムにコードされているミトコンドリアDNA(mtDNA)合成酵素に遺伝子工学的に点変異を導入し、神経細胞のみで発現を誘導するプロモーターに連結してトランスジェニックマウスを作った。このマウスがヒトの双極性障害のモデルとして的確かどうかを実証するため、本年度は、双極性障害の第一選択薬であるリチウムの効果を調べた。数週間という長期にわたり、かつマウスの行動に影響を与えない投与方法として、リチウムを餌に混合してマウスに与える方法を選んだ。血中レベルがヒトにおける治療濃度になるよう、餌中のリチウム量を至適化した後、行動実験を行った。その結果、トランスジェニックマウスに見られる気分障害様の異常行動は、リチウム投与約1週間後から、正常に近くなった。この結果から、躁うつ病のモデル動物として満たすべきpredictive validityを当変異マウスは満足していると考えられた。さらに、別の気分安定薬であるバルプロ酸の効果を同様に解析するため、餌中に混合するバルプロ酸ナトリウムの適切な量を調べた。並行して、このトランスジェニックマウスの運動機能等を調べた。具体的には、ローターロッド試験とトレッドミル試験を行った。その結果、同腹の野生型マウスと有意な違いはまったくなく、トランスジェニックマウスに見られる輪回し行動量が少ないという表現型は、運動機能やスタミナの異常に起因するのではないことがはっきりとした。
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