2005 Fiscal Year Annual Research Report
PET薬剤に代わる新しいがん診断用薬剤、99mTc標識アミノ酸誘導体の開発
Project/Area Number |
17790842
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
花岡 宏史 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50361390)
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Keywords | 腫瘍 / 核医学診断 / アミノ酸 / テクネシウム |
Research Abstract |
がんの核医学診断においてFDG-PETが急速に普及しているが、限られた施設でしか使用できないという問題点がある。それに対し放射性金属核種である^<99m>Tcは汎用性の高い放射性核種であり、^<99m>Tcで標識した腫瘍診断用薬剤は非常に有用であると考えられる。そこで本研究ではSPECT装置によるがんの核医学診断を目指した新しい腫瘍診断用放射性薬剤として、^<99m>Tc標識アミノ酸誘導体の開発を目的とした。 腫瘍細胞においてアミノ酸トランスポーターの一つであるLAT1が高発現していることが知られており、またLAT1の基質認識には比較的かさ高く疎水性の側鎖が重要であると報告されている。そこで、^<99m>Tcとコンパクトかつ疎水性の高い錯体を形成することが可能なトリカルボニル化合物を側鎖に導入したアミノ酸誘導体を設計した。最初に非放射性レニウム(Re)を用いて非放射性Re導入アミノ酸の作製を目指し、先にRe錯体を作製した後、グリシン誘導体との不斉合成を行う経路によりL体のRe導入アミノ酸誘導体を選択的に合成することができた。このことから設計した^<99m>Tc標識アミノ酸誘導体の合成が可能であることが示唆された。今後、^<99m>Tc標識アミノ酸誘導体のインビトロにおけるLAT1発現細胞への取り込み量および化合物の安定性等の検討を行い、さらに正常マウスにおける体内動態を検討した後、最終的には腫瘍細胞を移植した担癌マウスを用いて本薬剤の腫瘍診断用薬剤としての有用性を評価する予定である。また、現在の合成経路は金属錯体形成の後に多くの反応を行う必要があり、標識後の操作が簡便であるとはいえない。そこで、アミノ酸に錯体を結合させた後、金属を導入できるような新たな合成経路を検討する予定である。
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