2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17790852
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
村岡 紀昭 福井大学, 医学部附属病院, 助手 (70397248)
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Keywords | 肝移植 / 肝容積増加率 / 予後 / 肝生検 / 二核化肝細胞 |
Research Abstract |
今年度はまず、CTによる肝容積測定の精度を検討するため、生体肝移植ドナー16症例に関してCTを用いて測定したグラフト肝容積と術中に実測したグラフト肝容積とを比較した。過去の文献で報告されているように、CTで測定された肝容積は術中に測定した肝容積とほぼ同等であり、今後の経時的な肝容積測定が信頼に値するものであると考えられた。 次に左葉生体肝移植のレシピエント16人に対し(男性:7例、女性:9例、平均年齢:46.6歳、中央値:55歳)、移植後1週間以内に1、2回のCT検査を施行した。肝臓全体をCT撮像し、CT装置に付随するワークステーションに画像を転送して、専用ソフトを使用して肝容積測定を行った。専用ソフトの使用により、1画像ごとに肝臓の辺縁をトレースし、血管構造を排除することにより正確な肝容積の測定を行なうことができる。移植後の肝臓の再生は1週間以内がもっとも急峻であることから、移植時の肝容積を1.0としてそれぞれの症例の7日目の肝容積を直線近似して算定した。移植後7日目の肝容積増加率は生存群2.2±0.41、死亡群1.79±0.29と生存群が死亡群と比べ有意に高かった(P<0.05)。2.1をcut off値とすると増加率が2.1以上の症例には死亡例は認めなかったが、2.1を下回る症例については9症例のうち6例が術後2ヶ月以内に死亡した。 1週間以内に肝生検を行った症例については、病理標本を作製し(HE染色)、肝細胞の2核化の程度、細胞の腫大像、グリソン鞘の数、胆汁うっ滞の程度、炎症細胞浸潤の程度について病理医師に診断していただく予定である。また肝容積の増大程度と病理像との関係についても今後検討する予定である。
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