2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17790853
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
森 哲也 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 助手 (40397287)
|
Keywords | 放射線 / 薬学 |
Research Abstract |
ターゲットトレーサーであるF-18標識フルオロ酢酸エチル(EFA)およびその代謝物のF-18標識フルオロ酢酸(FA)の合成は、ethyl O-mesyl-glycolateを前駆体とし、PET薬剤自動合成装置を用いてそれぞれ合成することに成功した。 EFAの血中での安定性をC-14標識体を用いて検討したところ、代謝速度に種差が認められ、げっ歯類では急速に分解されたが霊長類では比較的安定であることが確認された。脳イメージング薬剤として重要な要素である脳への取り込み率はbrain uptake index(BUI)法により測定した。その結果、C-14標識EFAは125.9±4.1%(n=4)と、C-14標識FAの33.3±3.7%に比べ非常に高く、さらに脳血流の指標であるトリチウム水よりも高い脳移行性を示した。さらに、ラット脳ホモジネートを用いた代謝実験では脳組織で速やかに加水分解されることが確認されたことから、脳内でEFAの脱エステル化は速やかに進行し、F-18標識EFAがF-18標識FAのプロドラッグとして機能する可能性が示唆された。 次にこれらの結果より、F18標識EFAの生体PETイメージング実験には霊長類が適していると考えられ、コモンマーモセットを用いて体内動態を検討した。その結果、投与後早期から脳への高い放射能集積と滞留が確認された。得られたデータより薬物動態解析を行ったところ、3-コンパートメントモデルに非常によく相関した。一方、^<18>F-FAでは脳への集積がほとんど認められなかった。 以上の結果より、F-18標識EFAは脳イメージング薬剤としての性質を十分に有していることが確認さ、今後代謝物等の詳細な検討を行うことによりPET用脳内酢酸代謝イメージング薬剤としての可能性を検討する。
|