2005 Fiscal Year Annual Research Report
肝腫瘍化学塞栓療法における薬剤溶出性高吸水性ポリマーを用いたDDSの開発
Project/Area Number |
17790858
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大須賀 慶悟 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90332741)
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Keywords | 動脈塞栓術 / 化学塞栓療法 / 薬剤溶出性塞栓物質 / 高吸水性ポリマー |
Research Abstract |
肝腫瘍化学塞栓療法における標的塞栓性及び薬剤溶出性を兼備えたDrug delivery system(DDS)として薬剤溶出性高吸水性ポリマー(Drug eluting superabsorbent polymer ; DESAP)の開発を企図した。薬剤は、肝細胞癌に比較的感受性が高いシスプラチン(CDDP)微粉末を選択した。本年度は、以下の項目についてin vitroで基礎検討を行った。 1.CDDPの造影剤溶解性 CDDP各種(10mg/ml)混合液を24時間攪拌後、ろ過液のCDDP濃度を測定した。CDDP定量は、日本薬局方外医薬品規格シスプラチンの定量法(検出波長210nm,40℃)に準じて測定した。40℃での溶解度は生食3.0mg/ml、非イオン性イオパミドール(300mgI/ml)5.0mg/ml、同イオヘキソール(300mg/ml)6.6mg/ml、イオン性イオキサグル酸(320mgI/ml)で定量困難であった。比較的高溶解度のイオヘキソールを至適溶媒とした。 2.SAPのCDDP溶解液の吸収性及び溶出性 CDDP溶解液を吸収膨潤したSAP(106-150μm径,10mg/ml)の薬剤溶出性について検討した。日局溶出試験法パドル法(回転数10rpm,溶出液は37℃生食900ml)に準じたCDDPの経時的溶出率は、3,6,10,24時間後で各約50%,70%,90%,100%で、完全溶出に1日を要した。溶出曲線は静置時間10分及び1時間、あるいはCDDP濃度2mg/ml及び5mg/mlで何れも差はなかった。 以上より、臨床応用を想定したDESAPの調整はSAP100mg/CDDP50mg/イオヘキソール10mlが至適割合と思われた。今後、更なる基礎検討の継続、及び動物実験によるDESAPの血管塞栓効果及び組織内薬剤溶出効果の検討を予定している。
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