2006 Fiscal Year Annual Research Report
拡散テンソル、perfusion MRIによる瀰漫性軸索損傷の病態評価、予後予測
Project/Area Number |
17790862
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
古川 又一 山口大学, 医学部附属病院, 医員 (80380004)
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Keywords | 脳・神経 / 外傷 / 画像診断 |
Research Abstract |
頭部交通外傷後、意識障害を生じているがCTのみでそれを十分に説明できるだけの病変(出血)がなく、臨床的に瀰漫性軸索損傷が疑われた症例を対象に、MRIによる病態評価・予後予測の研究を行った。 外傷後当院へ救急搬送された症例のうち、MRIにて瀰漫性軸索損傷で傷害される頻度の高い脳梁に病変を有した症例について検討した。受傷後早期に病変の検出が可能とされる拡散強調像や拡散テンソル画像でのMR所見を主体に評価を行い、病変の早期検出に拡散強調像は有用と思われた。しかし、受傷同日のMR検査で異常なく経過観察にて異常が出現した症例や、拡散強調画像の所見から非可逆的病変が疑われたが長期経過観察にて病変が著明に縮小した症例も見られた。瀰漫性軸索損傷急性期から亜急性期における異常信号の出現機序としては、出現時期や経過からも虚血時の細胞障害性浮腫とは異なる機序の関与が示唆された。また、拡散テンソル画像を用いた拡散異方性の低下についてはFA値の軽度低下は認められたが、交差線維や設定する関心領域の問題もあり一定の傾向は認められなかった。また、ガドリニウム造影剤を用いたMRI perfusionについては、高速シーケンスを用いたが体動などによるアーチファクトもあり急性期の血流評価が行えておらずこちらも今後の課題となった。 瀰漫性軸索損傷画像評価における拡散強調像・テンソル画像の有用性については、他のシーケンスに比べ早期に視覚的な異常を検出できる利点はあるものの、急性期の病態評価・予後予測いずれにおいても十分な結論を導くには至っておらず今後更なる研究が必要と思われる。
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