2005 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部腫瘍放射線治療時の口腔内急性および慢性障害を防止するための装具の開発
Project/Area Number |
17790874
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大橋 俊夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70327641)
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Keywords | 歯牙金属充填物 / 放射線治療 / 粘膜炎 / モンテカルロ法 |
Research Abstract |
歯牙が頬粘膜に接している状態を想定し、数個の正常歯牙および金属充填歯牙、歯科鋳造用金銀パラジウム合金、タフウォータ板、GAFChromic filmを積層に重ね4MVのX線を20Gy照射し線量を測定した。モンテカルロ法によるシミュレーションで実験と同様の条件で線量の計算を行い実測データと比較した。 歯牙の側から照射した場合は、健常歯牙の直下ではbuild up効果により線量が大きく増大した。金属充填歯牙では減衰により健常歯牙よりも線量は低下した。また5mm後方での線量はインレーでは健常歯牙と同様であったが、ブリッジ・クラウンでは減少していた。頬粘膜側から照射した場合、後方散乱によりブリッジ・クラウンの手前では線量の増大が認められたが、このとき金属の厚みによる違いはなかった。インレー・健常歯牙では後方散乱による影響は認められなかった。歯牙より手前の部位では後方散乱による線量の増加は認められなかった。モンテカルロ法による線量の計算結果は実測データとほぼ一致していた。ブリッジ・クラウンのような大きな金属充填歯牙が照射野内に存在するとき、金属の後方に腫瘍が存在する場合は線量の減衰が懸念され、照射方法の変更・金属の除去が必要と考えられた。後方散乱によって生じる線量増大による口内炎重症化の一部は数mmの吸収体の配置で防止できる可能性が示唆された。線量の予測にモンテカルロ法によるシミュレーションが有用であると考えられた。 この結果を元にさらに実験を進め、平成18年度は物理学的測定と同時に生物学的反応が一致するかを判定するために、培養細胞を用いた実験を施行する予定である。散乱線の強度による放射線治療関連遺伝子の発現の測定も考慮している。
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