2006 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部腫瘍放射線治療時の口腔内急性および慢性障害を防止するための装具の開発
Project/Area Number |
17790874
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大橋 俊夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70327641)
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Keywords | 歯牙金属充填物 / 放射線治療 / 粘膜炎 / モンテカルロ法 |
Research Abstract |
歯牙が頬粘膜に接している状態を想定し、2、5、10mm厚の歯科鋳造用金銀パラジウム合金、タフウォータ板、GAFChromic filmを様々な条件で積層し4MVのX線を10-20Gy照射し線量の測定を24回行った。1回の例外を除くと、モンテカルロ法による計算値は実測値の2.4%以内の差異であった。1回の例外はファントムを水中で照射した際にタフウォータ板が照射中に若干浮遊したものと考えその後は空気中での照射実験に変更した。 抜歯歯牙(10の健常歯牙および14の金属充填歯牙)を用いて線量の測定を行った。健常歯牙およびインレーの直下ではビルドアップ効果により線量が増大したのに比べ、ブリッジ・クラウンでは線量は低下した。健常歯牙・インレーでは後方散乱は認められなかったが、ブリッジ・クラウンでは、後方散乱により線量の増大が認められた。大きな金属充填歯牙が照射野内に存在するとき、後方の線量の減衰による腫瘍線量の低下、および後方散乱によって生じる線量増大による口内炎重症化が問題になると考えられた。 人体近似の口腔ファントムを用いた線量測定の結果、歯牙に5mmを超える金属が存在する場合後方散乱による線量の有意な増大(15%程度)を認め、歯肉炎・頬粘膜炎の増悪が予測された。この場合アクリル製の3mmのスペーサーを用いるとその影響は認められなかった。歯牙の後方に腫瘍が存在する場合、5mmを越える金属では線量の減衰により腫瘍線量の低下が認められた。そのような条件下では金属充填物の除去あるいは照射方向の再検討が余儀なくされる。ファントムをCTで撮影し線量計算を行ったが金属近傍の線量予測はかなり困難を極めた。培養皿で培養細胞の近傍に金属片を配置しての照射実験を行ない、金属片周囲で散乱線によるものと思われる影響は認められているが、3次元でのシミュレーションとならず今後の検討課題である。
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Research Products
(8 results)