2005 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生を標的とした治療の放射線療法への応用に関する基礎的検討
Project/Area Number |
17790884
|
Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
石川 仁 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 研究員 (70344918)
|
Keywords | 放射線誘発アポトーシス / 血管新生 / 分子標的 / マイクロアレイ / p73 / COX-2 |
Research Abstract |
1.子宮頸癌放射線治療のマイクロアレイ解析 子宮頸癌31例(X線単独治療11例、化学放射線治療13例、炭素イオン線治療7例)の治療前/中の生検材料を用いてマイクロアレイ解析を行った。治療法別に放射線照射に応答する遺伝子は種類・数が異なっており、ANOVAによるクラスター解析では、約300の遺伝子を用いることで各治療法別に群別化できた。治療に特有な遺伝子発現パターンを同定することで、その治療に重要なシグナル伝達経路を見出すことが可能と思われた。現在は、マイクロアレイによる治療効果予測について研究中である。 2.子宮頸癌p53およびp73蛋白の放射線治療効果に対する役割 子宮頚癌47例の放射線治療前/中の生検材料を用い、p53、p73発現と放射線誘発アポトーシスの関係を免疫組織化学染色法で検討した。照射1週後のアポトーシスは約2%の細胞で確認された。照射後のp53発現は36例で増強したが、11例では低下していた。p53発現の増強した症例では1週後のp53陽性細胞の多い群で有意にアポトーシスが誘発された。一方、p53発現の低下した症例では、照射1週後のp73陽性細胞が多い群でアポトーシスの誘発が顕著であった。以上から、p73は子宮頸癌症例の放射線誘発アポトーシスにp53機能を補う役割があることが示唆された。 3.子宮頸癌放射線誘発アポトーシスに対するCOX-2の影響 子宮頚癌47例の放射線治療前/中の生検材料を用いて、COX-2発現と局所効果・アポトーシス・局所制御率に与える影響を検討した。全例の治療前のCOX-2発現率は46.1%であった。COX-2発現と照射1週時のアポトーシス出現率の相関係数(r)は-0.52、寄与率(r^2)0.27と有意な相関が認められた(p=0.0002)。COX-2発現率50%以上の症例をCOX-2陽性(22例)、50%未満をCOX-2陰性(25例)とした場合、アポトーシス出現率は陽性群1.6±0.3%、陰性群2.5±0.9%と差が認められた(p=0.0002).局所効果に関しては、陽性群のCR率59%に対して陰性群では80%、治療後の局所制御も陽性群で77%に対して、陰性群で96%といずれもCOX-2陰性群で良好な結果であった。2年局所制御率は陽性群66.8%、陰性群96.0%と陰性群で良好な結果であった(p=0.06)。
|
Research Products
(5 results)