2005 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌肝転移巣に対するFZD10を標的分子とした新規抗体療法の開発
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17790912
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長山 聡 京都大学, 医学研究科, 助手 (70362499)
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Keywords | FZD10 / 抗体療法 / 大腸癌肝転移 |
Research Abstract |
大腸癌における分子標的治療の候補として、WNTに対する受容体である7回膜貫通型細胞受容体Frizzled familyのひとつ、FZD10について以下の検討を施行した。 1.抗FZD10モノクローナル抗体の作成 FZD10に対するモノクローナル抗体6C9を作製した。FZD10を発現している細胞株を用いてのFACSにより、6C9はFZD10の細胞外領域を特異的に認識していることを確認し、さらにepitope mappingからFZD10の細胞外領域内の約6アミノ酸残基がエピトープとなっていることが判明した。 2.大腸癌におけるFZD10の発現 大腸癌原発巣および肝転移巣におけるFZD10の発現を、6C9を用いた免疫組織染色により検討し、各組織をその染色陽性細胞数から陽性(50%以上)、弱陽性(5-50%)、陰性(5%未満)に分類した。 1)原発巣:30例の解析で陽性7例、弱陽性7例、陰性16例であった。正常粘膜は全て陰性であった。 2)肝転巣:陽性9例、弱陽性11例、陰性25例であった。正常実質細胞は全て陰性であった。 3)原発巣と転移巣の相関性:原発巣での陽性、弱陽性例は全例その肝転移巣でも発現が認められた。 これらの染色結果より、FZD10の発現は腫瘍組織特異的であり、抗体療法のターゲット分子になりうること、原発巣と肝転移巣の発現状況が近似していることから、肝転移巣における発現状況を切除した原発巣から予測することが可能であり、治療効果の期待できるサブグループを選別しうることが判明した。 今後はFZD10の発現状況と他の臨床病理学的因子との相関を検討し、大腸癌の発生・進展におけるFZD10の関与を検討していく予定である。また、ヌードマウス移植組織を用いて、モノクローナル抗体のin vivo腫瘍集積性を検討することも計画している。
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