2005 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌の多段階発癌におけるp27の発現制御機構に関する研究
Project/Area Number |
17790919
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
谷内田 真一 香川大学, 医学部, 助手 (20359920)
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Keywords | p27 / Skp2 / Jab1 / 肝細胞癌 / 多段階発癌 |
Research Abstract |
香川大学と慶応義塾大学附属病院において,手術で得られた肝細胞癌とその前癌病変(計約140病変)を研究材料とし,肝多段階発癌過程における細胞周期シグナルの変化について検討した.特にCDKI(cyclin-cyclin-dependent kinase inhibitor)であるp27と,それを分解・制御するSkp2(S-phase kinase-interacting Protein)とJab1(Jun activation domain-binding Protein-1)を免疫組織組織化学染色とRT-PCR法で検討した. p27は背景肝組織では免疫染色でその発現はほとんどみられなかったが,前癌病変であるadenomatous hyperplasiaや早期肝細胞癌において高い発現を認めた.RT-PCR法でも早期肝細胞癌は,背景肝組織と比較して,そのmRNAの発現は増加していた.一方で,低分化型肝細胞癌ではp27蛋白の発現は有意に低下していた.門脈侵襲のある症例ではない症例と比較して,有意にその発現は低下していた. Skp2は前癌病変や早期肝細胞癌ではその発現はほとんどみられなかったが,低分化型肝細胞癌で有意に高い蛋白発現を認めた.門脈侵襲のある症例では,門脈侵襲のない症例と比較して,有意のその蛋白発現は増加していた.Jab1は前癌病変や早期肝細胞癌でもその蛋白発現を認めた. 以上の所見から,p27は肝多段階発癌の非常に早期の段階から過剰発現していることが,蛋白レベルとmRNAレベルで証明された.p27は肝細胞癌の前癌病変の診断学的マーカーになりうる可能性が示唆された. これらの結果は平成17年度に日本消化器外科学会総会,日本癌学会総会,日本外科学会総会と報告した.今後は2006年のアメリカ癌学会で報告する予定である.
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